インビザラインの副作用とリスク、事前に知っておきたいこと

インビザラインの副作用とリスク、事前に知っておきたいこと
透明なマウスピースで目立たずに矯正治療ができるインビザライン
従来のワイヤーを使った矯正治療には抵抗があるけど、インビザラインなら試してみたいな、とお考えの人もいることでしょう。

インビザラインには、従来の矯正治療にはなかった多くのメリットがある一方、どんな治療法でもそうであるように、デメリットというものも存在します。
治療法を決める場合、良い部分だけを見て判断するのではなく、起こりうる副作用やリスクについても十分に理解しておかなければなりません。

そこで今回は、インビザライン治療を受ける前に知っておきたい副作用やリスク、またその対策や対処法について詳しくご紹介します。
これからインビザライン治療を受ける予定のある方、治療を受けようか迷っている方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.インビザラインの副作用とリスクとは!?

1.インビザラインの副作用とリスクとは!?

インビザライン治療を受ける場合、全ての方で起こるわけではありませんが、次に挙げるような副作用やリスクの可能性があります。対策・対処法とともに見ていきましょう。

 

1-1歯の痛み

インビザライン治療を始めると少しずつ歯が動き始めます。そうすると歯が動く際の痛みを感じたり、歯が敏感になるので噛み合わせると痛みを感じたりといった症状が起こります。また、冷たいものでしみる知覚過敏が起こることもあります。

ただし、一般的にインビザラインではワイヤー矯正に比べるとこのような痛みは起こりにくいようになっています。

<対策・対処法>
歯が動くときの痛みは通常、新しいマウスピースに替えて間もない頃のタイミングで起こりやすくなります。痛みがつらい場合には痛み止めを飲んでも良いですが、そこまでの痛みが出ることは稀です。

歯が敏感な状態の時にはやわらかい物を食べるようにしていただき、知覚過敏がある場合にはあまり温度差のあるものは口にせず、刺激を与えないようにした方が良いでしょう。

 

1-2発音のしにくさ

インビザラインのマウスピースは厚さが0.5ミリ程度と薄めではありますが、治療を開始して日が浅いうちは数日間、発音のしにくさを感じることがあります。

<対策・対処法>
発音のしにくさを感じても舌の感覚はだんだんと慣れてきます。通常は2,3日くらいもすればいつもどおりに発音できるようになりますので様子を見てみましょう。

 

1-3歯肉炎・口内炎

インビザラインは表面がゴツゴツしているワイヤー矯正とは違って、表面が滑らかで口の中を傷つけにくいのですが、歯茎に炎症があって腫れている状況ではマウスピースの縁の部分が歯茎の部分に当たって痛みを感じたり、歯茎に傷がつくと口内炎を作ったりする可能性もあります。

<対策・対処法>
歯と歯茎の境目の部分の歯磨きがしっかりできていないと歯肉炎を起こしやすくなりますので、歯磨きをする際にはこの部分にしっかりと歯ブラシを当てて磨くようにしましょう。

また、歯石が溜まると同様に歯茎が炎症を起こして腫れやすくなりますので、歯石取も定期的に受けるようにしましょう。

 

1-4むし歯

インビザラインのマウスピースは、食事の時と歯磨きの時以外にはずっと装着しておく必要があります。装置が歯に固定されるワイヤー矯正と違って歯磨きがしやすく、むし歯のリスクは低めではあるのですが、歯磨きがきちんとできていない場合、その上からマウスピースを被せることによって、逆にむし歯のリスクが高くなってしまうため、十分な注意が必要です。

<対策・対処法>
食後の歯磨きは丁寧に行い、磨き残しができるだけ出ないようにしましょう。ですが、入り組んだ場所は100%汚れを取り切ることが難しいので、定期的にクリーニングを受けることも大切です。

 

1-5顎関節症

インビザラインだけに限らず、矯正治療中には歯が動いていくことによりかみ合わせが変化していきます。その結果、噛む筋肉やあごの関節に負担がかかり、顎関節症の症状(あごの痛み、口の開けづらさ、耳の前が痛い等)が現れる可能性があります。

<対策・対処法>
顎関節症の症状はマウスピースを替えた後など一時的なもので落ち着くことが多いですが、日中に噛みしめをしてしまう癖のある人は、それもあごに負担をかけますので、意識してやめるようにしましょう。症状が出ている時にはできるだけあごに負担をかけないほうがいいので、食事に関してはあまり噛まなくて済むやわらかい物を食べるようにするとよいでしょう。

 

1-6頭痛

歯が徐々に動くことによりかみ合わせが変わると、噛む筋肉にストレスがかかります。そうすると、そことつながる筋肉が緊張して頭痛を引き起こすこともあります。

<対策・対処法>
頭痛も顎関節症の場合と同様、マウスピースを替えた後など、一時的なことが多く、ずっと続くことはあまりありません。ですが、症状がつらい時には痛み止めを服用するのもやむを得ないでしょう。日中の噛みしめをしないようにする、噛む筋肉に負担をかける硬い食べ物はなるべく控える、といったことも大事です。

 

1-7歯根吸収

矯正治療を行う場合、歯に力がかかりすぎると、歯の根っこが溶けて短くなるという現象が起こる場合があります。インビザラインの場合には、歯にかかる力ができるだけ弱くなるように設計されていますので、指示通りに使用していればそのようなことが起こることはありません。

<対策・対処法>
マウスピースを交換するタイミングを守らず、早めのタイミングで交換したりすると歯根吸収のリスクがありますので、必ず決められたタイミングで交換するようにしましょう。

 

1-8ブラックトライアングル

歯並びが重なっている歯並びを矯正する場合、重なりが改善してくると歯茎が下がり、歯の形状によっては歯と歯の間の根元に三角形の隙間が空く「ブラックトライアングル」が現れる場合があります。

<対策・対処法>
この現象は歯周病がある場合には特に起こりやすくなります。日頃から歯磨き、定期的なクリーニングを心がけ、歯周病を発症、進行させないようにしておきましょう。

 

1-9治療効果が出にくい

インビザラインのマウスピースは一日に20時間以上毎日装着する必要があります。ですがそれをしっかりと守らずに使用した場合、治療効果が十分に現れなくなるリスクがあります。

<対策・対処法>
インビザライン治療を行っている時は、ご自分でしっかりと装着時間を管理し、決められた時間つけるようにしましょう。

 

2.インビザラインによる副作用・リスクを少なくするために

2.インビザラインによる副作用・リスクを少なくするために

インビザラインによる副作用・リスクは治療の取り組み方や、人によっても現れ方が違ってきます。上でご紹介したさまざまな症状は、起こりうる症状であって、全く出ない人もいます。

インビザライン治療中に不快症状を起こさないために大切なのは、やはり、決められた使用方法を必ず守り、お口のケアに十分注意を払って行うことです。

正しく使用し、お口の健康にも注意を払っていれば、インビザラインはワイヤー矯正と比べて副作用やリスクを少なく、ストレスなく進めていくことができる治療法です。

 

3.まとめ

 

今回はインビザライン治療で起こりうる副作用やリスクについてご紹介しました。これらを事前に知っておくことにより、不快症状が出ないようにすることが可能ですし、また症状が出たとしても対処法を知っておくことで症状を長引かせずに済むことが可能です。

ぜひ今回の記事を快適なインビザライン治療を進めていく上での参考にしていただければ幸いです。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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