子どもの矯正で失敗しないためにはどうすればいいの?
矯正治療に関しても例外ではありません。中には思ったような治療効果が出なかった、結果的に歯並びが良くなっていない、治療後に歯並びが悪くなってきた、というような話を聞くこともあります。
お子さんの矯正治療をお考えの方は、このような話はとても気になるものですよね。今回は、子どもの矯正で失敗するケースにはどのようなものがあるか、またその原因、そして、失敗しないための対策についてご紹介していきます。
1.子どもの矯正で失敗しないためにはどうしたらいい?
矯正治療は、「ただ歯に装置をつければ歯がいい感じに並んでいく」、という単純なものではありません。子どもの矯正を失敗に終わらせないためには、次のようなことが大事になってきます。
1-1 必要な検査をしっかりと行っている歯科医院を選ぶ
矯正治療を成功させるためには、矯正治療の前に必要な検査(頭部レントゲン写真撮影、お口全体のレントゲン写真撮影、顔や口の写真撮影、顎関節の検査、歯型取り)をきちんと行い、診断をした上で、それに基づいた治療を行う必要があります。こどもの矯正治療を行っている歯科医院は多くありますが、まずはこのような検査をしっかりとやってくれる歯科医を選ぶことが大切です。
1-2 親御さんがサポートして一緒に頑張っていく
また、矯正治療中はお子さんだけに任せず、親御さんがお子さんに寄り添って、サポートしてあげることが大切です。矯正治療はお子さん自身の本人のモチベーションに加え、親御さんの協力もとても大事になってきます。歯の衛生管理、装置がきちんと使えているかどうか、食事面でのサポートなど、お子さんが一人で頑張るのではなく、親御さんも常に寄り添って「一緒にやっていこう」という姿勢が必要です。
2.子どもの矯正、トラブルや失敗ケースにはどのようなものがある?
2-1 治療期間が長すぎる
子どもの矯正は、永久歯への生え替わりの間に行いますので、大人の矯正治療に比べると治療期間が長くかかることも多いです。それで改善が見られるのであれば問題はありませんがずっと同じ装置で、同じような状態が長く続いているのであれば、うまくいっていない可能性、また、治療開始時期が適切でない可能性があります。
2-2 歯並びは良くなったけど、ものが噛みにくくなった
見た目に歯並びは良くなったけれども、噛み合わせが悪くなり、きちんと噛めなくなった、というようなことが起こる場合があります。
2-3 矯正治療後、歯並びが悪くなってしまう
矯正治療が終わった時には、きれいに揃っていたのに、だんだんと歯並びが重なってきたり、歯並びが乱れてしまうことがあります。これは、「矯正後の後戻り」と呼ばれる現象で、歯を動かした後に、歯が元の位置に戻ろうとする働きによって起こります。
2-4 歯茎が下がってしまった
歯並びはきれいに揃ったのに、歯茎が下がり、歯が長くなったように見えることがあります。
2-5 歯根が短くなった
見た目には問題がなくても、矯正後のレントゲン写真をみると、歯根が元々の長さよりも短くなってしまっている場合があります。
2-6 口元の出っ張りが取れていない
歯並びは揃っていても、前歯が前方に突出した感じで、唇が閉められない、というような状態になることがあります。
2-7 虫歯ができてしまった
矯正治療中は、装置が歯に固定されるタイプの場合、歯磨きがしにくくなって汚れが溜まりがちになり、それによって虫歯ができてしまうことがあります。
3.子どもの矯正でトラブルや失敗が起こる原因
3-1治療方法が適切でなかった
矯正治療は、適切な診査・診断のもと、それに合った治療計画で行わなければうまくいきません。もし、治療方法が合わなければ、期待通りの結果とはならないでしょう。
3-2虫歯ができてしまった
矯正治療中に虫歯ができてしまうと、そちらの治療を優先し、矯正治療を中断せざるを得ない場合があります。マウスピース矯正の場合、虫歯の治療後に歯の形が変わってしまうことでマウスピース装置が使えなくなり、再製作をしなければならなくなることもあります。
3-3癖が直っていなかった
指しゃぶりや唇を噛む癖、頬杖といった歯やあごに力をかけるような癖は、歯並びや骨格の形成に影響をもたらします。そのため、子どもの矯正を行う場合には、そのような癖を取り除くような訓練をします。もし癖が改善しない場合、矯正治療後に歯並びが乱れる原因となります。
3-4装置をきちんと装着、もしくは調整していなかった
子どもの矯正では、取り外し式の装置で矯正を行うことがよくあります。そのような装置の場合、ご自分で毎日装着時間を守って行う必要があります。また、ご自分で毎日ネジを回す必要のある装置もあります。そのような装置を決められた通りに使っていないと、矯正治療効果がきちんと現れません。
3-5リテーナー(保定装置)をきちんとつけていなかった
矯正治療が終わった後は、矯正後の後戻り現象を防ぐために、しばらくリテーナーと呼ばれる装置をつけます。固定式のものもあれば、取り外し式のものもありますが、取り外し式のものをきちんと装着していないと、だんだんと歯並びが乱れる原因となります。
3-6無理に歯並びを広げすぎてしまった
子どもの矯正治療では、拡大床(かくだいしょう)と呼ばれる装置を使うことがよくあります。拡大床は、歯列(歯並び)を外側に広げることで、歯を移動させるスペースを確保するものですが、広げすぎると、歯が外側に傾いてしまい、出っ歯になってしまったり、歯茎が下がったりする原因となります。
3-7抜歯・非抜歯の判断が間違っていた
矯正治療では、歯を並べるスペースを確保するための抜歯が必要になるケースというのがあります。通常、極力抜歯をせずに矯正することを試みますが、中にはどうしてもスペースが足りずに抜歯が必要となるケースがあります。そのような場合に抜歯しないで無理やり並べると、歯並びが前方に出っ張った状態になってしまうことがあります。
3-8歯に力がかかりすぎた
歯や骨にダメージを与えずに動かすためには、弱い力を持続的にかけていく必要があります。その際に強い力がかかりすぎてしまうと、歯根が短くなったり、骨が下がったりする原因になります。
4.子どもの矯正を失敗しないために出来ること、対策
4-1 矯正治療を専門的に行っている歯科医院を選ぶ
子どもの矯正治療は、矯正治療を専門としていない歯科医でも行うことができます。そのため、中には矯正治療の知識があまりない一般歯科医が子どもの矯正治療を行っているケースもあります。矯正治療は非常に専門性が高い治療であり、治療を行う前の細かい検査、それに基づいた診断、そして治療方針が欠かせません。そして、全てをきっちりとやるためにはそれ相応の費用もかかってきます。
そのため、矯正治療費が安いというような安易な理由で歯科医院を選ぶのではなく、矯正治療を専門としている歯科医がいる歯科医院で治療を受けることが大事です。
4-2 決められたことをきちんと守って行う
矯正治療は、全て歯科医師任せではうまくいきません。治療を成功させるためには、装置を指示された通りに扱い、歯のケアをしっかり行い、治療中の注意事項を守る必要があります。そのためには、親子で協力し合って取り込むことが大事です。
5.まとめ
成長発育の盛んな子どもの頃に矯正治療を行うことで、大人になってからの治療では得られない数多くのメリットがありますが、それは治療が適切に行われた場合です。子どもの矯正治療で失敗しないためには、歯科医院選びや、お子さん、保護者の方の治療を受ける側の姿勢というものも、とても大事になってきます。
お子さんの矯正治療をお考えの方は、今回の記事をぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
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