歯周病と歯並びの関係、歯周病でも矯正治療はできる?

歯周病と歯並びの関係、歯周病でも矯正治療はできる?
近頃では、中年以降の方で矯正治療を希望する人が増えてきています。それはとても喜ばしいことなのですが、子どもや若年者の矯正治療の場合とは違って注意が必要になるのが「歯周病」です。

歯周病は歯を支えている骨や歯茎が弱っていく進行性の病気で、成人の8割がかかっている、もしくはその予備軍と言われているほど身近なものです。

歯周病にかかっている人が矯正治療を受ける場合、状況によってはリスクを伴うことがあります。しかし一方で、矯正治療をすることで歯周病を改善できることもあります。

今回は歯周病と歯並び、矯正治療の関係について解説していきます。

 

1.歯周病と歯並びの関係とは

 

一見関係なさそうに思われる歯周病と歯並び。
ですが、歯周病と歯並びには密接な相関関係があります。

 

1-1歯周病にかかっていると歯並びが悪くなりやすい

歯周病によって歯の周囲の骨が失われてしまうと、歯をしっかりと支えている土台がなくなるので、歯は力に負けて容易に動いてしまい、歯並びの悪化につながります。

 

1-2歯並びが悪いと歯周病にかかりやすい

逆に、もともと歯並びが悪い場合、歯の重なっている部分の汚れをしっかりと落とすことができず、そこから歯茎が炎症を起こしてしまい歯周病が発症します。

このように、歯周病と歯並びにはお互いに影響を及ぼし合う相互関係があり、いずれかが悪い状態を放置しているともう片方も起こるリスクが高くなるということが言えます。

 

2.歯並びの悪さが歯周病を引き起こす?

2.歯並びの悪さが歯周病を引き起こす?

歯並びが悪いと歯周病を起こしやすくなる、この点について詳しく見て見ましょう。
歯並びが悪いことで歯周病を起こしやすくなるのには、次のようなことが関係しています。

 

2-1歯の周囲に汚れが溜まりやすくなる

歯周病は歯周病菌の増殖によって起こるとされている病気です。歯並びが整っておらず、重なっていたりねじれていたりすると、その部分は歯ブラシが届きにくくどうしても汚れが溜まりやすくなります。
そうすると、その部分に歯周病菌が繁殖して歯周病が起こりやすくなります。

 

2-2過剰な噛み合わせの力で組織がダメージを受ける

歯並びが悪いと、噛んだ時に歯が全体的にバランスよく当たらず、特定の歯に過剰な力がかかりやすくなります。
このような力は、歯周病による骨の破壊を促進してしまい、歯周病が悪化することにつながります

 

2-3口呼吸により口内に細菌が繁殖しやすくなる

出っ歯や開咬(噛み合わせた時に上下の前歯に隙間ができる噛み合わせ)といった歯並びは、程度によっては唇が閉めにくく、口が開いたままとなり、口呼吸になりがちです。

口呼吸になると、本来唾液に覆われている口の中が乾いた状態になりやすくなります。
唾液は口の中を洗浄したり、殺菌をしたりといった働きがありますが、乾いた状態ではそういった機能が果たされにくく、結果的に歯周病が起こりやすくなってしまいます。

 

2-4あまり噛まなくて済むものを食べがちになる

歯並びが良くないと、ものをしっかりと噛みづらくなります。
結果的に、食べやすいもの、つまりあまり噛まなくても済むような高カロリーでやわらかいものばかり食べがちになります。

やわらかいものは歯にくっつきやすく、その上、あまり噛まないことで唾液が十分に分泌されなくなるのも加わって、そこに食物が停滞しやすくなります。

結果的に、そこから歯周病菌の繁殖が起こりやすくなって歯周病を発症するリスクが高まります

 

3歯周病が歯並びに与える影響

 

子どもの頃、若い頃は歯並びが良かったのにだんだんと歯並びが悪くなってきた、ということはありませんか?
もしそうである場合、歯周病が原因になっているかもしれません。

歯並びがだんだんと悪くなる原因にはいろいろありますが、歯周病によって歯を支えている骨の量が減ってくると、歯が噛む力などの外力によって動いてしまい、位置が変わっていってしまうのです。

具体的には、

・出っ歯になってくる
・歯がねじれてくる
・歯が伸びてくる
・歯と歯の隙間があいてくる
・歯が重なり合ってくる

といったことが起こってきます。

 

4.歯周病でも矯正治療はできるの?

 

歯周病にかかっていても、矯正治療を受けることは可能です。
ただし、歯周病と言っても病状はさまざまで、骨の破壊が見られない軽度の状態から歯の周囲の骨がほとんど破壊されている重度のケースまで、状況は人によってそれぞれですから、治療が可能になるかどうかは、慎重に診査・診断を行ったうえで検討していきます。

基本的に、歯周病が軽度~中程度くらいであれば矯正治療は可能で、重度の場合には矯正によってかかる力により歯が抜けてしまう恐れがあるため、状況によっては難しくなってきます。

また、もし矯正治療が可能になる場合であっても、歯周病を放置したまま治療を行うと、矯正力によって歯を支えている組織に負担がかかったり、歯が動いた時にできる骨と歯の隙間に細菌感染を起こして歯周病の病状がみるみる悪化したり、といったリスクがあるため、歯周病の治療を先に行って、歯周病の状態が安定してから矯正治療に取り掛かる必要があります。

 

5.歯並びの改善が歯周病予防になる?

5.歯並びの改善が歯周病予防になる?

歯並びを改善すると、次のような理由から歯周病予防につながります。

 

5-1歯並びが整うとお手入れが簡単になる

歯並びが整うと、必然的に歯ブラシがすみずみまで届きやすくなりますので、歯磨きの効率が良くなり、汚れの取り残しが少なくなって歯周病予防につながります。

 

5-2歯並びが整うと歯に異常な力がかかりにくくなる

歯並びが整うことで歯にかかる力のバランスが良くなり、歯に過剰な力がかかる部分がなくなっていきます。結果的に歯の周囲組織にダメージがかからなくなっていきますので、歯周病のリスクが下げられます

 

5-3口呼吸が改善される

出っ歯や開咬が改善されると唇が閉めやすくなり、口呼吸の状態から鼻呼吸になりやすくなります。そうすると、口の中が唾液で満たされて口内の自浄作用が十分に発揮されるようになり、歯周病にもかかりにくくなっていきます。

 

5-4しっかり噛めるので体が健康になり、歯周病になりにくい体になる

歯並びが整うとものをしっかりと噛めるようになります。きちんと噛めるようになると、唾液もよく分泌されるようになりますので、口内環境が改善されていきます。

また、歯並びが悪かった時にはあまり噛めずに丸呑み状態で早食い傾向になりがちだったのが、矯正治療をして歯並びを整えることで、きちんと噛んで飲み込むようになるので早食い傾向が改善され、肥満や糖尿病のリスクが下がります

肥満や糖尿病は歯周病のリスク因子としても知られているものですので、これらを予防することにより、歯周病の予防にもつながっていきます。

 

6.まとめ

 

以上、歯周病と歯並びの関係についてご紹介しました。
つまり、簡単に言うと次のようなことが言えます。

・歯周病を放置していると歯並びが悪くなりやすく、さらにその状態を放置していると汚れが溜まりやすくなってますます歯周病が進行してしまう

・歯並びが悪い状態を放置していると歯周病にかかりやすくなり、進行して歯が移動するとさらに歯並びが悪くなっていってしまう

一旦このような悪循環に陥ってしまうと抜け出すのが難しくなってしまい、早期に歯を失うリスクも高くなってしまいます。

ですが、歯周病も歯並びの悪さも、できるだけ早めのタイミングで治療に取り掛かることによって負のループを断ち切りやすくなります。

歯周病は歯を失うトップの原因となる病気です。歯周病の原因には歯並びの悪さが関わっていることも多く、もしそれに該当する場合には歯周病が悪化する前に矯正治療をしておくことで歯周病のリスクを下げ、一生ご自分の歯を保ちやすくなるでしょう。

つまり、歯の健康を保つという意味でも矯正治療はおすすめです。
歯並びが気になっている方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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