インビザライン矯正中に歯茎が下がる?歯肉退縮の原因と予防法!

インビザライン矯正中に歯茎が下がる?歯肉退縮の原因と予防法!
歯列矯正は矯正器具を使用することで歯の位置を動かし、歯並びとかみ合わせを整える治療法です。
歯列矯正をおこなうことで、歯の位置が本来あるべき位置に整えられ、見た目も噛む機能面も改善し、歯の健康も良い状態で維持しやすくなるという大きなメリットがあります。

ですが一方で、矯正治療で歯を動かすことで歯茎が下がるといったデメリットが起こる場合があります。これはすべてのケースにおいて起こるわけではありませんが、人によっては現れることがあります。

今回は歯茎が下がってしまう「歯肉退縮」の原因とその予防法についてご紹介します。

 

1.インビザライン矯正中に歯茎が下がる原因

インビザライン矯正中に歯茎が下がる場合、次のようなことが原因となって起こります

 

1-1歯茎のだぶつきが取れた

矯正治療によってそれまで重なり合っていた歯の重なりが解消されると、重なっていたことでだぶついていた歯茎がすっきりと引き締まり、歯茎が下がったように見えることがあります。

 

1-2骨が薄かった

歯は骨に埋まっていますが、歯を外側方向に動かしたことで歯の前の骨が薄くなってしまった場合、骨が下がり、それに伴い歯茎も下がってしまいやすくなります。

 

1-3歯周病になってしまった

歯周病というのは、歯茎が細菌感染により炎症を起こして腫れる病気ですが、進行すると歯を支えている骨を溶かし、だんだんと歯茎が下がっていきます。

矯正治療中に歯のケアが不十分だと、歯周病を起こしたり、もともとあった歯周病が進行したりする可能性があります。また、タバコを吸う人、糖尿病の人、骨粗しょう症の人の場合には歯周病リスクが一気に跳ね上がるので、特に注意が必要です。

 

1-4過度にブラッシングをしてしまった

矯正治療中にはむし歯や歯周病のリスクが高まりますが、注意をし過ぎて歯ブラシの際に力が入りすぎたり、歯磨きをやりすぎたりしてしまうと、歯茎がダメージを受けて歯茎が下がってしまうことがあります。

 

1-5 矯正力が強すぎた

矯正治療では歯に力を加えることによって、歯と骨の間にある歯根膜と呼ばれる部分が伸縮します。この歯根膜には一定の厚さを保とうとする性質があるので、引っ張られて伸びた歯根膜は元の厚さに戻そうと骨を作り、押された側の歯根膜は逆に骨を溶かしていきます。
つまり、このように歯が埋まっている骨を溶かしたり作ったりすることを繰り返すことで、歯は移動していきます。

インビザラインでは歯に力がかかりすぎないようにコントロールされているので、他の方法に比べてこういったリスクは少ないのですが、外している時間が長かったりなど、指示通り使っていない場合には強い力がかかることもあり得るので、このようなリスクが生じる可能性はあります。

 

2.歯茎が下がることによるリスクとは

2.歯茎が下がることによるリスクとは

歯茎が下がると次のようなリスクがあります。

 

2-1老けて見える可能性がある

歯茎が下がると歯が長く見えてしまうこと、そして歯と歯の間の下方の隙間が広くなってブラックトライアングル(三角形の黒く見える隙間)ができることから、見た目が老けて見える可能性があります。

 

2-2知覚過敏が出る

歯茎が下がると、歯根部分が露出してきます。歯根には歯冠(歯茎から元々出ている部分)の表面に存在する硬いエナメル質が備わっていないため、露出してしまうと外部からの刺激を直接受けてしまいます。
そうすると、温度刺激(特に冷たい刺激)に敏感になり、しみる、痛いといった症状を感じる「知覚過敏」を起こしやすくなります

 

2-3ものが詰まりやすくなる

歯茎が下がって歯と歯の間に隙間ができてくると、その部分に食べものがつまりやすく、口臭の原因にもなります。

 

2-4むし歯リスクが高まる

歯茎が下がって露出した歯根部には硬いエナメル質がないので、むし歯に対する抵抗力が弱く、すぐにむし歯になりやすい傾向があります。

また、歯と歯の間に隙間が空くと、ものが詰まりやすくなるので、その部分からむし歯ができやすくなります。

 

3.インビザライン矯正中に歯茎が下がるのを防ぐ方法

インビザライン矯正中に歯茎が下がるのを防ぐ方法をご紹介します。参考にしていただき、実践していただくことで歯茎が下がることを防ぎ、さまざまな不快症状を回避できるだけでなく、健康な歯を維持していくことにもつながります。

 

3-1適切なブラッシングをする

歯茎が下がる大きな原因となる歯周病にかからないようにするためには、毎日丁寧に歯磨きを続けることが大事です。ただしこの時、あくまでも正しい方法歯磨きができている必要があります。

乱暴にゴシゴシと力を入れて磨く、硬い歯ブラシを使うといったことは歯茎を傷めて歯肉退縮を早める恐れがあるので、力のかかりすぎには要注意です。
また、歯周病を効果的に防ぐためには、歯と歯茎の間の部分によく歯ブラシを当ててマッサージをするように磨くのがよいでしょう。

 

3-2マウスピースの使用方法、使用時間を守る

インビザライン矯正は、治療中の歯の動きを予測して治療計画を立て、それに基づいてマウスピースを作製します。治療計画通りに治療を進めるためには、マウスピースの一日の最低装着時間を守り、なるべく外している時間を短くすることが大切です。

もしもこれが守れない場合、事前に予測した歯の動きと異なる動きをする恐れがあり、歯茎が下がる原因にもなります。

このようなことにならないためにも、マウスピースの使用方法と使用時間はきちんと守って進めていくことが大事です。

 

3-3定期的にクリーニングを受ける

セルフケアとしての歯磨きだけでは、歯の周囲に付着した汚れを完全に取り切ることはできません。取り残した汚れが放置されてしまうと、そこから歯周病が発症したり悪化したりする原因になりますので、少なくとも3カ月に一度くらいの間隔でプロによるクリーニングを受けることをおすすめします。

 

3-4喫煙しない

タバコは歯周病を引き起こす重大なリスクファクターです。歯周病が悪化すると歯茎が下がることにつながりますので、インビザライン矯正中に限らず、お口の健康をずっと維持するためにもタバコは吸わないことをおすすめします。

 

3-5食生活・生活習慣に気を付ける

食生活によって歯茎や骨の状態は左右されます。
糖分過多の食事は歯茎の炎症を起こしやすくし、歯周病のリスクを高めますし、栄養バランスの取れていない食事や運動不足は骨粗しょう症を引き起こし、骨を弱くしてしまいます

歯を支えている歯茎や骨の状態が悪くなれば当然歯茎が下がりやすくなるので、食生活や生活習慣に気を付けて健康的な生活を意識して送ることも大事です。

 

4.まとめ

インビザライン矯正に限らず、全ての矯正治療において「歯茎が下がる」というリスクはあります。もちろんこれはすべての人に起こるものではなく、骨の状態や歯茎の状態、ケアの仕方、生活習慣などによってリスクの程度は違ってくるので、全く歯茎が下がらない人もいます。

一旦歯茎が下がってしまった場合、歯茎を移植するといった特殊な治療法を使わない限り、自然に元の状態に戻すことは難しいでしょう。

ですが、取り組み方次第でそのリスクを下げることは可能ですので、日頃から歯茎が下がりにくくなるような対策をしておくことが大事です。

インビザライン矯正を今現在やっている方、もしくはこれからやってみたいと考えている方はぜひ今回の内容を参考にしていただき、歯茎が下がらないような対策を実践してみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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