子どもの矯正治療って必要?ベストな治療開始のタイミングはいつ?

子どもの矯正治療って必要?ベストな治療開始のタイミングはいつ?
お子さんの矯正治療を考えている人にとって、矯正治療を始めるベストなタイミングというのはとても気になる問題なのではないでしょうか。

矯正治療は費用や治療期間もある程度かかりますし、お子さんのストレスといったことも考えると、「中学生や高校生になってから、もしくは成人矯正でもいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。

ですが、実は矯正治療といっても、子どもの矯正治療と成人矯正には大きな違いがあり、歯並びによっては子どものうちからやっておかなければ後にやっかいになる歯並びというのもあるのです。

そこで今回は、

  • 子どもの矯正治療が必要な理由
  • 子どもの矯正治療を始めるベストなタイミング
  • 子どもの矯正が必要になるのはどんな歯並びなのか

 

ということについて詳しくご紹介していきます。

 

1.子どもの矯正治療は本当に必要なの?その理由は?

 

子どもの矯正治療は「小児矯正」と呼ばれるもので、永久歯が全て生えそろうまでに行う矯正治療のことを言います。

それに対して、永久歯が全て生えそろってから行う治療は「成人矯正」と呼ばれ、おもに中学生以降から行われます。

いずれも歯並びを整えることができるのに、わざわざ子どものうちに大変な思いをさせなくても・・と思う人もいるかもしれません。

ですが、小児矯正は成人矯正とは目的が異なり、歯並びや骨格によっては小児矯正をやるかやらないかでその後の結果に大きな違いが出てきます。

小児矯正が必要になる場合、次のようなことがその理由として挙げられます。

 

1-1骨格のバランスを整えることができる

小児矯正では、骨格の成長のコントロールも行うことができます。永久歯が生えそろう頃にはある程度骨格も成長しきっていますので、上下のあごの成長に差があったり、ゆがみが出ていたりする場合、そこから矯正治療のみで治すことはできません。

子どものうちに矯正治療を始めることで、上下のあごのバランスも整えることができるので、骨格の成長に問題があるお子さんの場合、成長の盛んな段階で治療を開始することが望まれます。

 

1-2抜歯や手術を避けられる可能性が高くなる

歯並びやかみ合わせの問題が出る原因は、歯の生え切るスペースが足りない、上下のあごの大きさのアンバランス、あごの歪み、といったことです。

永久歯にすべて生え変わってから矯正治療をする場合、歯の生え切るスペースが足りずに歯並びが重なっているケースでは、小臼歯を上下左右一本ずつ、合計4本抜歯して行うという方法がよく行われます。

上下のあごの大きさにアンバランスがある場合やあごの変形がある場合には、あごの骨を切って矯正治療を行う「外科矯正」が行われる場合もあります。

一方、小児矯正をしておくと、あごの成長のコントロールができるので、このような抜歯や手術を避けられる可能性が高くなります。

 

1-3きれいな歯並びや骨格を維持しやすくなる

歯並びが悪くなる原因は、遺伝だけでなく、成長期の間違った口周囲の筋肉の使い方、そして、指しゃぶりや唇を噛む癖、頬杖などの癖が原因であることも多いものです。

小児矯正では、装置を使用するだけでなく、このような癖を取り除く、正しい筋肉の使い方ができるようになるためのトレーニングを行う、といった治療内容も行いますので、良い歯並びと骨格を形成、維持しやすくなるのに加え、矯正治療後に起きがちな歯並びの後戻り現象も起きにくくなります

 

2.子どもの矯正のベストなタイミングはいつ?

 

2.子どもの矯正のベストなタイミングはいつ?

 

まず、子どもの矯正治療は必ずしもすべてのお子さんに必要になるわけではなく、骨格性の問題がない場合や、歯並びのズレの程度が軽度である場合には、永久歯が生えそろった段階から行っても問題ないこともあります。

小児矯正が必要になる場合、そのベストな開始年齢は万人に同じではなく、ケースバイケースで理想的な開始時期は異なりますので、お子さんの場合にベストな治療開始時期はいつか、矯正歯科医の判断を仰ぎましょう。

一般的なところでは、大体小学校に上がるころ、もしくはそれ以降に始めるというケースが多いですが、骨格性の要因の大きい受け口などのケースにおいては、どんどん下あごが成長するのを抑制するために、たとえば3~4歳頃など、できるだけ早い時期から治療を開始するケースが多いです。

そのため、家族に受け口の人がいる場合には遺伝の可能性も考慮に入れ、早めの診断、そして定期的な経過観察を受けておくことをおすすめします。

 

3.子どもの矯正が必要な歯並びとは

 

3.子どもの矯正が必要な歯並びとは

 

子どもの矯正が必要になってくる歯並びとしては主に次のようなものがあります。
症状の程度により子どもの矯正が必要ないと判断される場合もありますが、リスクの高いケースでは放置しておくことで様々なデメリットが生じます。

なお、このようなケースを成人矯正で治療する場合、スペースを確保するための抜歯や、骨格を調整するための外科手術が必要になる可能性があるため、そうならないようにするためにも子どものうちから矯正をすることが推奨されます。

 

3-1ガタガタに重なっている歯並び(叢生:そうせい)

歯の生えるスペースが足りない場合、歯同士が重なったガタガタの歯並びになります。こうなる原因としては、あごの骨が十分に成長していない、もしくはあごのサイズに対して歯のサイズが大きい、ということが考えられます。

このような歯並びを放置していると、見た目の問題、歯磨きの際に磨き残しが出やすいため、むし歯や歯周病にかかるリスクが高くなる、といった問題が起こってきます。

 

3-2出っ歯(上顎前突:じょうがくぜんとつ)

上の前歯が前方にでている状態です。歯のみが出ている場合、上あご自体が前方に突出している場合があります。

治療せずに放置した場合、見た目のコンプレックスや、口が閉められず口が乾くことでむし歯や歯周病のリスクの上昇、ぶつけて前歯を折りやすい、といった問題が起こりやすくなります。

 

3-3受け口(下顎前突:かがくぜんとつ)

下の前歯が上の前歯よりも前方に出ている歯並びで、歯の位置関係が反対になっている場合と、下あごが過度に成長している場合があります。

放置すると、下あごが大きく突出して見た目の問題が大きくなる、ものがしっかりと噛めない、発音に影響が出る、といった問題が起こりやすくなります。

 

3-4前歯がかみ合わない(開咬:かいこう)

奥歯を噛み合わせても前歯がぽっかりと隙間が空いてかみ合わない状態です。多くの場合、指しゃぶりやおしゃぶり、舌を前に出す癖などが原因となって起こります。

放置した場合、発音や滑舌の問題、見た目の問題、ものが噛み切りにくい、奥歯がダメになりやすい、といった問題が起こるリスクがあります。

 

4.まとめ

 

よい歯並びや骨格を持っているということは、見た目のメリットだけでなく、将来にわたって歯の健康面、体の健康面においても大きなメリットをもたらします。

歯並びや骨格に問題が出ている、もしくはその兆候がある場合、成長の盛んな子どものうちから矯正治療を始めることで、歯の問題が起こりにくくなったり、お顔の骨格が整って見た目が良くなったり、健康な体を維持しやすくなったりなど、お子さんの人生にとって大きなプラスになることでしょう。

子どもの矯正治療は、成人矯正と比較すると簡単な装置を使用することがほとんどで、おうちにいる間だけ装置を使用する、お食事の際には外せる、という場合も多く、ストレスも少なめです。

お子さんの人生をより良くするためにも、ぜひお子さんにとってベストな時期に矯正治療を受けさせてあげることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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