小児矯正は第一期治療のみでやめることはあるの?第二期治療が必要な場合とは?
大人の矯正治療である「成人矯正」は、成長が止まっている人に対して行われますが、子どもの時期にはあごの骨の成長や生え替わりがあるため、小児矯正として扱い、成人矯正とは治療の進め方に違いがあります。
小児矯正は、大きく分けて「第一期治療」と「第二期治療」というものに分類されます。
子どもの矯正治療では、これをすべて行う場合もあれば、第一期矯正だけで治療を終了することもあります。
本記事では、小児矯正が第一期矯正のみで終了するケースとはどのような場合なのか、ということについて解説していきます。
これからお子さんの矯正治療を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
1.小児矯正の第一期治療とは?その目的は?
1-1第一期治療とは?
小児矯正の第一期治療とは、主に永久歯への生え替わりが始まって終わるまでくらい、つまり年齢的には小学生くらいで行う矯正治療のことで、だいたい6~12歳のお子さんを対象に行います。
なお、あごの成長や生え替わりの時期には個人差がありますし、それぞれの症例によって適切な治療開始時期は異なりますので、年齢は大体の目安となります。
1-2第一期治療の目的
第一期治療は、永久歯がきちんと正しい位置に生えるための土台づくりを行っていく治療です。
そのために、
- あごの骨の成長をコントロールして永久歯がきれいに生え揃うスペースを作る
- 歯並びやあごの骨の成長を悪くしてしまう舌や口周りの癖を改善する
といったことを行っていきます。
矯正治療というと、歯を1本1本動かすイメージが強いかもしれませんが、第一期治療ではそのようなことは行わず、あくまでも永久歯が良い位置に生えるための手助けをしていくといった治療がメインとなります。
乳歯が抜けて永久歯に生え変わる時期は、あごの骨も成長の途中ですので、装置を使ったり、口周囲の筋肉の使い方のトレーニングを行ったりすることで、より自然な形で正しい骨格と本来あるべき位置に歯並びを作っていきやすいのです。
2.第一期治療と第二期治療の違いは?
2-1第一期治療
第1期の矯正治療は、上と下のあごのバランスを整えつつ、生えてくる永久歯を正しい位置に導くことが基本となります。
そのため、永久歯が生え切る12~13歳くらいまでの年齢を対象とします。
使用する装置は取り外し可能なタイプのもの、固定式タイプのものがありますが、いずれも一般的に、シンプルで目立たない装置を使用します。
取り外し可能なタイプのものは、在宅時や就寝時のみ使用する、という場合も多く、お子さんにとってストレスがかかりにくい方法だと言えるでしょう。
また、第一期治療を行っておくことであごの骨がアンバランスになることを防げるので、顔の形もより理想的に仕上げることが可能になります。
2-2第二期治療
第二期治療は、永久歯が全て生えそろってから行う子どもの矯正治療で、歯並びをきれいに整える仕上げとなる治療です。最後に生えてくる奥歯(親知らずを除く)は、12歳前後に生えてきますので、第二期治療を開始するのはそれくらいからということになります。
第二期治療では、歯の一本一本にブラケットと呼ばれる装置を固定し、そこにワイヤーを通す「ワイヤー矯正」や透明なマウスピースで歯並びを整えるマウスピース矯正が行われます。これはつまり、内容的には成人矯正で行う内容と同じものになります。
第二期治療を行うことで、よりきれいに整った美しい歯並びにしていくことができます。
ただし、歯に装置を固定する方法の場合、装置が邪魔になってしまい、磨き残しが出てしまうと虫歯になるリスクが高くなるので十分な注意が必要です。
なお、第一期での精密検査の結果により、特に骨格や癖などの問題がなく、第一期治療が不要だと判断された場合には、第二期治療から治療を開始することもあります。
3.小児矯正を第一期でやめることはあるの?
3-1ほとんどのケースが第二期治療に移行
第一期治療のみで治療が終わることもありますが、実際としてケースとしては少なく、第一期治療を受けているお子さんの多くが第二期治療へと移行していきます。
ですが、これはもちろん治療を受けているお子さん、そして保護者の方が治療の継続に了承した場合にのみ行われます。
第一期治療では歯を本来あるべき位置に導く、骨格がアンバランスに成長するのを防ぐ、ということはできますが、歯を微細に動かすことはできませんので、たとえば細かいねじれや傾斜などは残ってしまい、完璧にきれいに整った歯並びを完成させるというところまではなかなか到達できません。
第一期治療における歯列の改善率は全体の7割ほどと言われており、それ以上の改善を求めるのであれば、第二期治療が必要になってきます。
3-2第一期治療のみで終了するケース
数少ないケースでは、第一期の矯正のみでほぼ理想的な歯並びにできる場合もあります。歯のねじれやかみ合わせの問題などがない場合にはその可能性も高くなります。
第一期治療だけで十分にきれいに並ぶ場合には、特に第二期治療に進まなければならない理由はありません。また、その時点でやめたとしても、その後必ずしも歯並びが悪くなるというわけではありませんし、それまでの治療がまったく無駄になるということもありません。
なお、もし仮にその後親知らずの影響などにより再び歯並びが悪くなってきたとしても、その時に検討すればよいでしょう。
4.小児矯正を第一期のみで終了する場合の注意点
第一期治療は、あごの骨の正常な成長を助け、永久歯の位置が整いやすいように誘導していく治療法です。つまり、完璧な歯並びを作る第二期治療とは目的が異なります。
それゆえ、第一期治療を終えて満足のいく歯並びにならなかった、という結果に終わることもあり得ますし、その後に口周囲の癖が残っていたり、親知らずが押してきたりといった影響などによって歯並びがまた乱れてくることもあるかもしれません。
また、お子さんによっては骨の成長が遅くまで続くこともあり、骨格がさらに成長することでかみ合わせが変わってくることもあります。
第一期治療のみで治療を終了した場合には、このようなさまざまな要素により歯並びやかみ合わせが変わってくることがあるかもしれない、という可能性を知っておく必要があります。
5.第二期治療が必要な場合は?
第二期治療が必要と判断されるのは次のような場合です。
5-1歯並びやかみ合わせが十分に改善しなかった場合
第一期治療を終了した時点で歯並びのズレなどが残っていて歯並びが十分に整わなかった場合、また、かみ合わせが悪い場合には第二期治療が必要と判断されます。
5-2より完璧な歯並びにしたい場合
第一期治療である程度きれいな状態まで整えることができたとしても、ご本人や保護者の方のご希望により、より完璧な状態にまで整えたい、というような場合にも、歯の一本一本を動かして整えていくことができる第二期治療が必要になります。
6.まとめ
子どもの矯正治療はほとんどの場合で第二期治療まで必要になることが多く、第一期治療で十分と判断されることはあっても、実際にはそれほど多くはありません。
またその後、第二期治療を受けない場合、歯並びが再度乱れてくるリスクもあります。
矯正治療はできるだけ第一期治療だけで期間を短く、低予算でおさめたいところではありますが、それぞれのケースによって第二期治療までやらない場合のリスクというのは異なってきますので、担当医とよく相談して判断するようにしましょう。
この記事の監修者
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