インビザライン終了後のリテーナー(保定装置)とは?
インビザライン治療に必要なマウスピースがすべて終わったら治療は完了し、「もう装置をつけるのはおしまい」と当然思いがちですが、実は治療はまだそこで終わりではありません。
実際には、また一定期間装置をつける必要があるのです。
その装置とは「リテーナー」と呼ばれるものなのですが、このリテーナーをきちんとつづけるかどうかでその後の歯並びが大きく変わってきます。
今回はインビザラインのリテーナーについて、
- リテーナーとはいったい何なのか
- リテーナーが必要な理由
- リテーナーをつけるタイミング
- リテーナーのケア方法
について解説していきます。
インビザライン治療をやってみたいという人はぜひ参考にしてみてください。
1.インビザライン終了後のリテーナー(保定装置)とは?
1-1リテーナーとはどんなもの?
リテーナーとは、矯正治療後に装着する保定装置のことです。
保定装置とは、矯正治療後の歯並びを安定させるために使う装置のことで、インビザラインに限らず、ワイヤー矯正など、他の矯正治療でも必要になるものです。
やっと治療が終わってきれいな歯並びが手に入ったのに、なぜこまた装置をつける必要があるの?と疑問に思ってしまうかもしれませんが、実はこのリテーナーをつけるステップはとても重要なものです。
せっかく頑張って手に入れたきれいな歯並びを保持するためには、こちらもしっかりと装着していく必要があります。
1-2リテーナーの種類
矯正治療後に使われるリテーナーにはいくつか種類があり、通常はそのうち一つを選択して使用します。
代表的なものとしては次のようなものがあります。
◆ベッグタイプ
取り外しタイプのリテーナーで、一般的によく使用されるものです。
裏側はプラスチックで歯の表側にはワイヤーがかかっており、歯並び全体を包み込むような形態になっています。
◆ホーレータイプ
ベッグタイプと同様よく使用される取り外し式の装置で、こちらも裏側はプラスチック、表側にはワイヤーが通る構造をしています。
ですが、ワイヤーは前歯部分のみとなっており、前歯部の後戻りをしっかりと防止します。
◆スプリングリテーナー
下の前歯の後戻りを防ぐ目的で使われる取り外し式のリテーナーです。
他のリテーナーに比べて小さく、使いやすいのが特徴です。
◆リンガルリテーナー(固定式)
後戻りを起こしやすい下前歯の裏側にワイヤーを接着剤で固定する方法です。
歯の裏側なので、表から見えることは通常ほとんどなく、審美的な問題も起こしません。長期間な使用を想定して固定します。
◆クリアリテーナー(マウスピースタイプ)
見た目はインビザラインのマウスピースと似ている、歯並び全体を覆う透明なプラスチックでできたマウスピース型のリテーナーです。インビザラインのマウスピースと違うのは、歯を動かす作用はなく、固定する目的であるというところです。
こちらはつけていても目立たないので、日中にも見た目を気にせず使用できます。
2.インビザライン終了後にリテーナーは必要なの?
2-1歯並びの後戻りを防ぐために必要
インビザライン治療終了後にリテーナーが必要になる理由は、治療が終わった後そのままにしておくと、せっかく整った歯並びが崩れてしまうからです。
これを歯並びの「後戻り」といいます。
しかしこれは、インビザラインだけに限ったことではなく、従来のワイヤーを使った矯正治療でも同様に必要になります。
2-2なぜ後戻りが起こる?
なぜ治療が終わった後に歯並びが崩れてしまうのか、についてですが、それは、人工的に動かした歯というのは、移動した位置でしっかりと固定されるのに時間がかかり、そのままにしておくと、前あった位置に戻っていこうとする力が働くからです。
矯正治療後間もない頃というのはまだ固定がなされておらず、不安定なため、油断をするとすぐに歯並びがずれてしまいます。
リテーナーを使うことで歯の周りの骨を安定させ、動かないようガードしてくれます。特に、抜歯をして歯を大きく動かした場合には歯が動きやすいため、注意が必要です。
3.リテーナー(保定装置)は いつ装着するの?
3-1一日の装着時間
固定式のリテーナーの場合は、歯に固定されているので特にこの点について気にする必要はありません。取り外し式のリテーナーの場合は、患者様ご自身でしっかりと装着を管理していただく必要があります。
装着時間に関しては、最初のうちはインビザラインのマウスピースと同様、一般的に一日20時間以上の装着が必要となります。基本的には食事と歯磨きの時以外にはずっとつけておく形となります。
矯正治療が終わった直後は、少しでも油断すると歯がとても後戻りしやすいため、できるだけ装着時間が短くならないよう、特に注意が必要です。
その後は、ドクターが歯並びの安定度合いを確認しながら、装着時間を徐々に減らしていくように指示するのが一般的で、最終的には、夜間だけの装着となります。
自己判断で勝手に装着時間を短くしてしまうと、歯並びがずれてしまう恐れがあるため、注意しましょう。
3-2リテーナーの装着期間
リテーナーの装着期間は、治療にかかった期間と同等の期間くらいというのが一般的で、最低でも2年くらいは装着したほうがいいと言われています。
できるだけ装置から早く解放されたいという気持ちはあると思いますが、きれいな歯並びを確実に維持したいのであれば、できるだけ長期間装着するのが確実です。
4.リテーナー(保定装置)のケア方法
固定式のリテーナーの場合は、歯と同様に丁寧に歯ブラシを当てて磨くようにしましょう。ただし、リテーナーが固定される下の歯の裏側というのは歯石が溜まりやすい場所でもあるので、定期的に歯科でクリーニングを受ける必要があります。
取り外し式のリテーナーの場合は、やわらかめの歯ブラシを使って流水下で優しくこすり洗いをしましょう。なお、リテーナーの表面に傷がつくとそこに細菌が繁殖しやすくなるため、傷をなるべくつけないように、硬めの歯ブラシや歯磨き粉は使用しないようにしてください。
また、熱湯で洗うとプラスチックが変形する恐れがあるため、水かぬるま湯で洗うようにしてください。
毎日使用する必要はありませんが、洗浄剤は洗浄効果が高いので、時々使用するとよいでしょう。なお。洗浄剤の使用方法は製品の説明書きに従うようにしてください。
5.まとめ
インビザライン後のリテーナーは、治療後にきれいに並んだ歯並びを維持するために欠かせないもので、矯正時に使用したマウスピースと同じくらい重要なものです。
歯並びがきれいに整うと、「もうその歯並びが手に入った」と思ってしまいがちですが、
「もう大丈夫だろう」と、自己判断でリテーナーをつけることを忘れてしまったり、装着時間が短くなっていったりなどして歯並びが再び乱れてしまう人というのは意外に多いものです。
そのため、リテーナーの時期に入ったら、できるだけ長くつけるつもりで取り組んでいきましょう。
理想的な歯並びを維持するためには、リテーナーをつけている時間が長ければ長いほどよいとされています。そのため、矯正治療後も油断することなく、日常生活のなかでつけられる時間があれば、なるべく長くリテーナーを装着する、という姿勢でいることが大切です。
この記事の監修者
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