歯科治療には、このように保険が適用されない治療がありますが、高額な医療費がかかった場合、治療内容によっては、医療費控除を受けると、治療費の負担を軽減することができます。
今回は、インビザラインも医療費控除の対象になるのか、また医療費控除の詳しいやり方や、必要書類としてどのようなものをそろえれば良いか、について解説していきます。
1.インビザラインは医療費控除の対象になる?
1-1医療費控除とは?
まず、医療費控除とは、何なのか?についてご説明します。
医療費控除とは、高額な医療費がかかった場合、税務署で申告をすると所得税を減らすことができる制度です。
具体的には、1年間に払った医療費が10万円を超えた場合、会社員の場合には、すでに納めていた所得税の一部が返ってくる形で、個人事業主の場合には、確定申告の際に申請を行うことで、納税額が減税され、結果的に治療費の負担を軽くすることができます。
また、医療費控除によって翌年度の住民税も安くなることがありますし、申告し忘れても5年前までさかのぼって申告することも可能です。
医療費控除は、黙っていて自動的に適用されることはなく、自分で申請する必要があるので、ぜひ忘れずに手続きをしたいものです。申請をした場合、かなりの額が戻ってくる可能性もあるので、高額な医療費がかかる場合には、確定申告の際に必要書類を出せるように準備しておきましょう。
1-2インビザラインは医療費控除の対象になる?
インビザラインは医療費控除の対象となる治療です。ただし、注意点として、全てのケースにおいて適用となるわけではない、ということを知っておく必要があります。
医療費控除の対象となるのは、歯科医師により、「噛み合わせの機能に問題があり、健康上、矯正治療が必要である」と診断された場合のみとなります。
「前歯だけ見た目を整えたい」など、単に見た目を改善したい美容目的で矯正治療を受ける場合には、適用とならないため、注意が必要です。これは、インビザラインに限らず、ワイヤー矯正においても同じです。
ただし、自分では見た目を改善したくて矯正治療を受ける場合でも、噛み合わせに問題があって治療が必要、と診断される場合もあります。
そのため、矯正治療を考えている人は、治療を受ける前に、ご自分のケースについて、歯科医師に医療費控除の対象となるかどうかを確認しておくことをおすすめします。
参照:国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
1-3どのくらいお金が戻ってくる?
医療費控除を申請すると、どのくらいの還付金が戻ってくるのか?
次の計算式で計算すると、おおよその金額がわかります。
◆所得が200万円以上の場合
1年間に支払った医療費総額ー生命保険料などの補てん金ー10万円=医療費控除の額
医療費控除の額✖️所得税率=還付金
◆所得が200万円未満の場合
1年間に支払った医療費総額ー生命保険料などの補てん金ー(所得✖️5%)=医療費控除の額
医療費控除の額✖️所得税率=還付金
具体的に知りたい場合、インターネットで「医療費控除 シミュレーション」などと検索すると、簡単にシミュレーションできるサイトがいくつか出てきますので、興味のある方は試してみるといいかもしれません。
2.インビザラインで医療費控除を申請する際の必要書類
インビザラインでかかった治療費を確定申告時に医療費控除申請する場合、次の書類をあらかじめ準備しておきましょう。
2-1確定申告書
確定申告書は、税務署で受け取るか、税務署や国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。ギリギリになって慌てないためにも、余裕を持って入手し、早めに記入しておきましょう。
2-2源泉徴収票
医療費控除を申請する年のものが必要です。
2-3医療費控除の明細書
医療費控除の申請をするためには、医療費控除の明細書の作成が必要です。1年間(1月1日~12月31日)にかかった医療費を、医療費控除の明細書に記載します。この際、ご自分だけでなく、生計が一緒である家族(一緒に住んでいなくても仕送りをしている家族でもOK)の医療費の合計となります。
過去の医療費に関しても、申請してなかった場合、5年前までならばさかのぼって申請が可能なので、これまでやってこなかった方はぜひ申請されることをおすすめします。
なお、医療費の領収書の提出は必要ありませんが、5年間は保管する必要があるため、捨てないよう気をつけてください。デンタルローンを組んだ場合は、デンタルローンの契約書の提示が必要になることがあるので、そちらも保管しておきましょう。
また、通院の際に使用した公共交通費(バス・電車)も申請できるので、領収書や、通院履歴などのメモは残しておきましょう。
2-4医療費のお知らせ(医療費通知)
年一回、1月~2月ごろに健康保険から届く「医療費のお知らせ」などのハガキや封書で、医療機関等からの請求をもとに、窓口で負担した金額をお知らせするものです。
2-5本人確認書類
マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、運転経歴証明書(2012年4月1日以降に発行されたもの)、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、愛の手帳(療育手帳)、在留カード、特別永住者証明書、個人番号が記載された住民票の写し、住民票記載事項証明書など。
2-6矯正歯科の診断書
インビザラインを医療費控除で申請する場合、美容目的ではなく、噛み合わせなどの治療目的の矯正であることが条件となります。そのため、医療費控除の対象となるかどうかを判断するために診断書の提出が求められる場合があります。
2-7印鑑
これは書類ではありませんが、準備しておくようにしましょう。
3. インビザライン治療費の医療費控除のやり方について
医療費控除の明細書と確定申告書の作成が完了したら、必要書類を揃えて
税務署に提出するだけで申請は完了です。
税務署への提出方法としては
- 税務署に行って直接提出する
- 郵送で送る
- e-Taxでオンライン申請をする
の三つの方法があるので、ご自分の都合の良い方法を選ぶと良いでしょう。
なお、申請してから、還付金が振り込まれるまでは通常1~2ヶ月ほどかかります。
3-1医療費控除申請を行う時期
医療費控除申請を行うのは確定申告の時期です。確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日までです。
3-2誰が手続きをする?
医療費控除申請を行えるのは、所得があり、税金を納めている人ですが、夫婦で共働きの場合、税金をより多く払っている方が、還付金が多くなりますので、収入の多い人が申告するのがお得になります。
4.まとめ
今回は、インビザラインが医療費控除の対象になるかどうか、また、医療費控除の際に必要となる書類や医療費控除のやり方についてご紹介しました。
インビザラインで医療費控除を適用にするには、美容目的ではなく、噛み合わせに問題がある、と診断されることが必要となりますので、まずは歯科医師に相談してみましょう。
インビザラインの治療費は高額ですが、医療費控除の適用となるならば、確実にまとまったお金が戻ってくるので、インビザラインの治療費を抑えることにもつながります。
医療費控除を申請すれば、還付金が受け取れるだけでなく、住民税の負担も軽くできる可能性があるので、活用しない手はありません。
また、医療費控除は、過去5年間はさかのぼって申請できますので、これまで知らなかった、忘れていた、という方は一緒に申請するとさらにお得です。
ぜひ、参考にしてみてください。
この記事の監修者
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