矯正治療は、治療期間が長くかかる治療ですから、できればマウスピース矯正で不便を感じずに楽に矯正できるならそうしたいですよね。でも、効果に疑問があると、なかなか決心がつかないもの。
そこで今回は、マウスピース矯正の効果について詳しく解説するとともに、マウスピース矯正で失敗するケース、そして失敗しないためにやるべきことについてご紹介していきます。
1.マウスピース矯正って本当に効果がある?
マウスピースは、透明な矯正装置を装着するだけで歯が動く、という、昔から考えると夢のような矯正治療法です。
マウスピース矯正には、本当に効果があるのか、詳しく見ていきましょう。
1-1マウスピース矯正の効果は証明済み
マウスピース矯正と言っても、世界には数多くのメーカーが存在します。その中で最も人気があり、治療を受けている人が多いのは、インビザラインというアメリカのアライン・テクノロジー社が手がけている商品です。
マウスピース矯正は、近年になって受けている人が急増しているので、新しい治療法と思われていることが多いですが、インビザラインに関しては、1999年にアメリカで生まれて以来、すでに25年以上の歴史があり、2023年3月の時点で、これまでに世界中で1500万人以上の人がインビザラインで矯正治療を受け、美しい歯並びを手に入れている実績があります。
芸能人やスポーツ選手でも、多くの人がインビザライン治療を受けているほど、インビザラインは、今ではもはやメジャーな矯正治療方法と言ってもいいでしょう。
また、世界中でも、マウスピース矯正の効果に関する論文は膨大な数のものが発表されており、効果は実証されています。
1-2マウスピース矯正の歯の動かし方は従来の装置と異なる
ワイヤー矯正では、歯の表面に取り付けた形状記憶ワイヤーの形になるように徐々に歯が動いていきます。
インビザラインの場合、マウスピースを定期的に、順次交換していくことで段々と歯並びが変わっていきます。
具体的に言うと、全てのマウピースは少しずつ歯並びが現在の歯並びから理想の歯並びになるように作られており、新しいマウスピースに段階的に交換するたびに、歯は次の位置に動くよう、圧がかかることで、歯が少しずつ動いていきます。
1-3マウスピース矯正に合う症例、合わない症例がある
マウスピース矯正は、確かに多くの人に効果が認められている方法ではありますが、全ての症例において効果があるわけではありません。
具体的には、マウスピース矯正の歯の動かし方の特性上、歯を傾斜させて動かす場合に合っており、並行移動させて動かす場合は不得意としているため、治療を行う前に、インビザラインに向いている症例なのかどうかをしっかりと見極める必要があります。
1-4マウスピース矯正の種類によっても効果が異なる
マウスピース矯正のメーカーは数多く存在します。そしてその効果は千差万別で、全てのマウスピース矯正が同一の効果を表すわけではありません。
代表的なマウスピース矯正であるインビザラインの場合、これまで治療を受けた症例の膨大な治療データをもとに歯の動く予測がほぼ正確に行われるため、治療の効果に対する世界的な支持を得ていますが、そうでないメーカーがあるのも事実であり、治療法を選択する際には注意が必要です。
2.マウスピース矯正の効果が半減してしまうケース・行為とは
2-1マウスピースを決められた時間装着していない
マウスピース矯正は、自由に取り外しができるのが魅力である一方、外している時間が長いと、その間には力がかからなくなるため、効果が現れません。
マウスピース矯正は、通常1日に20~22時間程度の装着が必要になります。それを下回ってしまうと十分な効果が現れなくなる恐れがあります。
2-2マウスピースがしっかりと奥まで入っていない
マウスピースを指で押し込むだけでは、マウスピースが奥までしっかり入りきらないことがあります。そのため、マウスピースを装着する際には、インビザラインの場合には、チューイーと呼ばれるシリコン製のチューブを噛む必要があります。これを怠った場合、適切な矯正力がかからず、計画通りに歯が動かない、ということになりかねません。
2-3適応症例から外れている
マウスピース矯正は、適応症例に行う場合、きちんと効果が発揮されますが、苦手とするケースというのもあります。例えば、抜歯をして歯を多く動かさなければならない症例など、マウスピース矯正の苦手とする症例の場合には、歯がなかなか動かず、治療効果が現れない、となってしまう場合もあります。
2-4治療計画が適切でない
マウスピース矯正の治療計画は、歯科医師が立案しますが、その治療計画に無理があり、適切でない場合には、歯が予定通り動かない、ということになってしまいます。
2-5保定装置をきちんとつけなかった
マウスピース矯正できちんと歯が並んだとしても、治療後に後戻りを防止するための保定装置を指示通りつけなかった場合、せっかく並んだ歯並びが再度乱れてしまい、治療の成果が無駄になってしまいます。
3.マウスピース矯正で効果ない=失敗とならないためにやるべきこと
3-1マウスピースの使用方法を守る
マウスピースは決められた時間、必ず装着するようにしましょう。基本的には、食事と歯磨きの時以外には、常につける必要があります。旅行やイベントなどの時には、ついつい外したままになりがちですが、外している時間が長いほど、効果が現れないばかりか、歯並びが後戻りすることもあり、マウスピースが合わなくなって作り直しになるリスクもありますので、注意してください。
また、装着する際には正しく奥までしっかりと装着するようにしましょう。
3-2信頼できる矯正歯科医を選ぶ
マウスピース矯正は、マウスピースをつけるだけで歯が動く、と思われがちですが、その前提として、矯正歯科医が適応症例に対して、治療計画を適切に立てる、ということが最も重要な条件となります。
マウスピース矯正を行っている歯科医師は数多く、矯正治療を専門的に行っている歯科医師もいれば、矯正歯科医でない歯科医師もいます。
マウスピース矯正は手軽に受けられるイメージがありますが、治療を受ける歯科医院、歯科医師選びは慎重に行い、矯正治療を専門として行っている歯科医師、かつ、インビザラインなど、マウスピース矯正の経験が豊富な歯科医師を選ぶことが大事です。
3-3保定装置を忘れずに装着する
マウスピース矯正が一旦終了して、きれいな歯並びになると、油断して保定装置をきちんとつけない人がいますが、それが原因で歯並びが再度乱れてしまう人は少なくありません。
一定期間は歯が動きやすいため、決められた期間は忘れずに保定装置をつけるようにしてください。
4.まとめ
マウスピース矯正は、適した症例において、正しく行われれば、きちんと効果が現れる治療法です。歯に装置を固定するワイヤー矯正の場合、適応症例が幅広く、放っておいても歯が動くという大きな強みがありますが、マウスピース矯正は、見た目の良さと快適さという捨て難い魅力があります。
できればマウスピース矯正で矯正治療をしたい、という方は、今回の内容を参考にしていただき、信頼のおける矯正歯科医のもとできちんと診断を受け、適応症例と判断された場合には、使用方法をしっかりと守って治療に望んでいただければと思います。
この記事の監修者
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