大人の矯正治療にかかる期間はどれくらい?

大人の矯正治療にかかる期間はどれくらい?
近年、目立たない矯正治療を行なっている歯科医院も増えてきたこともあり、大人で矯正治療を受ける人が増えてきています。ですがやはり、矯正治療というと長くかかるというイメージがつきもの。できるだけ不便な期間は短い方がいいですし、どのくらいかかるのか?というのはとても気になるものですね。

そこで今回は、大人の矯正治療にかかる期間はどのくらいなのか、どのような場合に治療が長引いてしまうのか、治療期間を短くするためにできることはあるのか、どのくらいの頻度で通院しなければならないのか、ということについてご紹介していきます。

 

1.大人の矯正治療の治療期間はどれくらいかかる?

 

大人の矯正治療にかかる期間は、数ヶ月~2年半程度といったところです。なぜこのように幅があるのかというと、歯並びの悪さの程度、治療方法などによって差が出てくるからです。

治療法別の治療期間の目安をご紹介していきましょう。

 

1-1部分矯正の場合

 

矯正治療は、ほとんどの場合全体的に装置をつけて矯正を行いますが、たとえば、軽度の前歯の不正などをその部分だけ矯正する、というような「部分矯正」というものもあります。この矯正が可能になるのは、奥歯の噛み合わせや歯並びに問題がないケースで、前歯の並びのみを整えるだけで良いので、数ヶ月から1年程度で終わらせることが可能です。

 

1-2ブラケット(表側)矯正の場合

 

歯の表側にブラケットとワイヤーを固定して行う「ブラケット矯正」の場合、平均的には1年半~2年半くらいかかります。

 

1-3裏側(舌側)矯正の場合

 

歯の裏側にブラケットとワイヤーを固定する「裏側(舌側)矯正」の場合、表に装置をつける場合よりも力のかかり方が弱くなるため、その分歯が動くのに期間がかかります。そのため、治療期間の目安としては2年~3年くらいですが、装置によっては表側矯正と同じくらいの期間で治療ができるものもあります。

 

1-4マウスピース矯正の場合

 

マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を段階的に交換していくことで歯並びが整っていくものです。毎日20時間以上の装着時間をしっかり守って行う場合、治療期間の目安はブラケット矯正と同様の1年半~2年半くらいといったところですが、簡単なケースでは1年以内で終わることもあります。

 

以上は、歯を動かす矯正装置を実際に使用する期間をご紹介しましたが、治療期間が終わって装置を外した後、「保定期間」と呼ばれる「歯並びの後戻り現象を防ぐための期間」というものが必要となってきます。

具体的にはリテーナーと呼ばれる保定装置を、歯を動かすのにかかった期間と同様の期間、就寝中などに使用する必要があります。

 

2.大人の矯正治療が長くかかる場合、どういうことが原因?

 

2.大人の矯正治療が長くかかる場合、どういうことが原因?

 

矯正治療というのは、歯にダメージを与えない弱い力で少しずつ歯を動かしていくため、他の歯科治療と比べて治療期間は長くかかってしまうのはやむを得ないと言えます。ですが、次のような原因で治療期間がさらに長くかかることがあります。

 

2-1歯を動かす距離が大きい・難症例

 

一般的に、歯並びの乱れが軽度で、あまり歯を動かす必要がなければ矯正期間は短く、歯並びの乱れが重度であれば歯をたくさん動かさなければならなくなるので、矯正期間は長くなります。

 

2-2マウスピース装置を正しく使用しなかった

 

自分で装着をする必要があるマウスピース矯正の場合、1日の装着時間が20時間に達していないと歯が予定通りに動かず、治療期間が長引いてしまう原因になります。

 

2-3途中で虫歯や歯のトラブルが起こってしまった

 

矯正治療期間に虫歯ができたり、歯に痛みが出たり、といったトラブルが起こると、それを放置することはできませんので、やむをえず矯正治療を中断してそちらの治療を行わなければならなくなり、結果的に矯正の期間が長引くことがあります。

 

2-4リテーナーをきちんとつけていなかった

 

歯を並べ終わった後に使用するリテーナーは、就寝中などに一定時間装着する必要があります。それを怠ってしまうと、せっかく並んだ歯並びが崩れてしまい、再度矯正治療が必要となってしまいますので、治療期間が長くなってしまいます

 

2-5治療方針が合っていない

 

たとえば、マウスピース矯正の適応症ではないのにマウスピース矯正で治療を行なってしまった場合など、治療法が症例に合っていない場合には、歯が効率的に動かず、やみくもに治療期間が長引いてしまうことがあります。

 

3.治療期間を短くするためにどうすればいい?

 

3.治療期間を短くするためにどうすればいい?

 

矯正治療期間を無駄に延ばさず、できるだけ短くするためには、次のようなことに気をつけましょう。

 

3-1歯のケアを丁寧に行う

 

矯正治療中は、装置によりお口の衛生状態が悪くなりがちなので、虫歯のリスクが高まります。虫歯ができてしまうと、どうしてもそちらの治療に時間が取られ、矯正期間も延びてしまうため、歯のケアはそれまで以上に念入りに行う必要があります。

 

具体的には、ご家庭でのケアをこまめに行うのはもちろんのこと、歯科医院でのクリーニングのケアも短い間隔で定期的に受けることをおすすめします。

 

3-2マウスピース装置をきちんとつける

 

マウスピース矯正の場合には、治療を長引かせないために最も大事なこととして、「装着時間を守る」ということが欠かせません。最低装着時間は「20時間以上」となっていますが、基本的には、お食事と歯磨きの時以外には常につけておくことをおすすめします。

 

3-3リテーナーをしっかりとつける

 

多くの人が陥りがちなこととして、「歯並びの後戻り」があります。いったん歯がきれいに並ぶとついつい油断をしてしまい、リテーナーをつけ忘れてしまって歯並びが崩れてしまうということは決して少なくありません。

そうならないためには、矯正治療後にも忘れず、リテーナーをつけることが大事です。

 

3-4信頼できる歯科医師選び

 

矯正治療方法にはいくつかあり、どの治療法でも問題なく行えるケースも多いですが、適応症が限られる症例というのはどうしてもあります。そのような場合には、それぞれの治療法の適用症であるか?ということを見極めることが非常に大事になってきます。

そのためには、矯正治療の専門医であるなど、信頼できる歯科医師選びをすることがとても重要です。

 

4.大人の矯正治療の通院頻度はどのくらい?

 

矯正治療の通院頻度は、治療の段階によっても異なりますが、目安としては、ブラケット矯正、裏側矯正で1ヶ月に一度くらい、マウスピース矯正の場合は1ヶ月~2ヶ月に一度くらい、といったところです。

ブラケット矯正の場合は、装置をつける前の準備などがありますので、最初の段階では多少通院頻度が多くなりますが、たとえば、マウスピース矯正の中でも代表的なインビザラインの場合、治療に必要なマウスピースは患者さんにあらかじめ渡されており、定期的に患者さんが交換することで治療が進んでいきますので、歯科医院へ通う頻度は少なくて済みます。

 

まとめ

 

矯正治療は少なくとも数ヶ月はかかる長期間の治療とはなってしまいますが、見た目だけでなく、清掃性が良くなり、噛み合わせも整うことで、歯を長く健康に保てる可能性を高めてくれる治療であるため、大人の方にとってもそれだけの価値がある治療だと言えるでしょう。

歯並びや噛み合わせはいったんでき上がるとずっと変わらないと思われがちですが、実はさまざまな原因で乱れていき、それが歯の健康を害して歯の寿命を縮めたり、体の不調を感じたりすることにもつながります。

歯や体の健康を取り戻すためにも、矯正治療はとても効果的な治療法ですので、興味のある方は、一度矯正歯科に相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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