口臭の原因!白い舌苔(ぜったい)ができる原因と対処法

口臭の原因!白い舌苔(ぜったい)ができる原因と対処法
舌の上にまるで苔のようについている付着物を「舌苔(ぜったい)」といいます。舌苔の付き方や色は人によっても様々で、またその時の体調などによっても異なってきます。ちなみに、東洋医学において舌の状態をみる「舌診」は、その人の体質や内臓の状態を知るための鏡としても重要視されていますが、その際には舌苔の付き方も参考とされます。

 

また、舌苔は、その付き方によっては口臭の原因にもなります。今回は、よくある白い舌苔について、付く場合の原因、そして対処法についてご紹介します。

 

1.白い舌苔(ぜったい)ができる原因

 

舌苔は、口の中の粘膜が剥がれた残骸と、食べ物に含まれるタンパク質に細菌が繁殖したものが舌の上に溜まったものです。ちなみに、舌苔は決して悪いものではなく、正常な舌にはうっすらと白い舌苔がついており、なんらかの原因により白い舌苔が厚く付く異常な状態となります。

 

次のような条件があると、白い舌苔が厚く付きやすくなります。

 

1-1唾液不足

 

口内の唾液分泌が落ちてしまう、もしくはなんらかの原因で口の中が乾いてしまうことにより、口内の自浄作用が落ち、細菌が繁殖しやすい環境になります。このようなことが起こる原因として、次のようなものが挙げられます。

 

◆ストレス
ストレス状態では交感神経が優位となり、興奮状態となりますので、唾液の分泌が抑制されます。

◆薬の副作用
薬の副作用として、唾液の分泌が抑えられてしまう場合があります。

◆タバコ
タバコを吸っていると唾液分泌が低下し、口の中が乾燥しがちになります。

◆飲酒
アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が失われる傾向があり、口の中もそれに伴い乾いてしまいます。

◆口呼吸
本来鼻で行われるべき呼吸が口で行われると、たとえ唾液が十分に出ていたとしても、呼吸によって口の中が乾燥してしまいます。

◆咀嚼・会話不足
唾液腺は、噛む動作や会話で口を動かすことによって刺激されます。ものを食べる際にあまり噛まなかったり、あまり人と話すことがなかったりすると、唾液腺が刺激されず、口の中が乾燥気味になってしまいます。

 

1-2免疫力の低下

 

免疫が低下すると、口内の細菌バランスが悪くなり、健康時には抑制されている細菌やカンジダ菌などが増加する環境となってしまい、舌苔が多く付きやすくなります。

 

免疫力は、ストレスや疲れ、睡眠不足、栄養バランスの乱れ、病気などによって低下します。

 

1-3口内衛生状態の悪化

 

口内のケアが行き届いておらず、不潔な状態になると、舌苔も付きやすくなります。

 

1-4胃の障害

 

口の中は胃の粘膜と繋がっています。胃の調子が悪い場合、舌苔が厚く付きやすくなります。これは、弱った胃を保護するために、舌苔を厚くし、味覚を感じにくくして食欲を落とすためだと言われています。

 

1-5栄養バランスの悪化

 

栄養バランスが悪いと、新陳代謝が落ち、舌苔が付きやすくなります。

 

1-6舌を動かしていない

 

舌は食事や会話によって動き、その際に食べ物や口蓋(口の天井部分)と擦れ合っていますが、あまり咀嚼しない、しゃべらない状態で舌が動いていないと、そのような擦れ合いがなくなってしまい、舌苔が蓄積しやすくなります。

 

1-7全身疾患の一症状として

 

糖尿病や十二指腸潰瘍、シェーグレン症候群といった全身症状の一症状として舌苔が付くこともあります。

 

1-8舌の位置が低い

 

受け口や口呼吸の状態にある人は、舌が低い位置にあり、口蓋と擦り合いにくくなります。その結果、舌苔が蓄積しやすくなります。

 

2.白い舌苔が増えることで起こりうるリスク

 

2.白い舌苔が増えることで起こりうるリスク

 

白い舌苔が増えることで、次のようなことが起こるリスクがあります。

 

2-1口臭

 

口臭の原因の9割はお口の中の問題からきており、そのうち、舌苔もその原因の多くを占めているとされています。ただ、うっすらと白い舌苔は健康的な状態であり、口臭の原因にはなりません。口臭を出すのは分厚くついている場合であり、そこには空気を嫌う細菌が生息し、タンパク質を分解して硫黄のような悪臭を放つようになります。

 

2-2細菌性肺炎(誤嚥性肺炎)

 

舌苔が喉の方まで広がっている場合、特に反射機能が衰えている高齢者においては、飲食物や唾液に伴って舌苔中の細菌が、食事の際や睡眠時に気道の方に行ってしまうことがあり、それが原因で肺炎を起こすリスクを高めます

 

細菌性肺炎は、高齢者の死亡原因の上位を占めています。

 

2-3味覚異常・味覚障害

 

舌の表面には、味を知覚する味蕾が多く分布していますが、それらが舌苔によって厚く覆われると、味覚をあまり感じなくなったり、正しく感じられなくなってしまったりするリスクが高くなります。

 

2-4舌炎

 

舌苔が厚く、細菌が多い状態で舌が傷つくと、細菌感染により舌炎を起こしやすくなります。

 

2-5虫歯・歯周病

 

虫歯や歯周病というのは、お口の細菌によって引き起こされると考えられています。いくら歯磨きをきちんと行っていても、舌苔が多く付いている状態では、口内の細菌が多い状態となります。その結果、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなると考えられます。

 

3.白い舌苔の取り方、対処法

 

3.白い舌苔の取り方、対処法

 

3-1白い舌苔の取り方

 

繰り返しになりますが、白い舌苔が付いていたとしても、うっすらと付着している程度であれば、それは正常な状態であり、害はありませんので取り除く必要はありません。もしそのような状態で無理に取り除いてしまうと、舌を保護しているものを取り除くことになり、またバランスの取れた細菌バランスを壊してしまうことにもつながりますので、逆に分厚く舌苔が付いてしまう、ということにもなりかねません。

 

厚くびっしりと付いている場合には口臭をはじめとする様々な不具合の原因となりますので、取り除くと良いでしょう。ただし、ゴシゴシ取り除くのは厳禁で、舌ブラシを使って舌の奥から手前方向に(喉の方向に細菌を送り込まないよう)そっと1~2回撫でるようにして取り除きましょう。

 

もし舌ブラシがない場合には、濡らしたガーゼを使ってやさしくこすり落とすのでもOKです。

 

3-2白い舌苔が付きにくくするための対処法

 

普段から白い舌苔がつきにくいようにするためには、次のようなことを試してみることをおすすめします。

 

◆丁寧な歯磨き
口の中を常に清潔に保つように、歯磨きは毎日丁寧に行いましょう。

◆洗口剤を使ってみる
お口の細菌の殺菌作用のある洗口剤でうがいをするのも効果的です。ただしアルコールを含むものはお口の中への刺激性が強いため、アルコールを含まないものがおすすめです。

◆健康的な生活を送る
規則正しい生活、栄養バランスの取れた食生活を心がけるなど、健康的な生活を心がけ、ストレスを溜めすぎない、疲れを溜めない、タバコやアルコールといった嗜好品はほどほどにするといったことも意識してみましょう。

◆唾液を出すことを意識する
唾液はお口の中を洗浄してくれるものです。唾液をしっかりと出すためには、よく噛む、よく喋る、ということを行って唾液腺を刺激することが大事です。また、口呼吸をしている人はその状態に慣れてしまって口周辺の筋力が落ちている可能性があるので、なるべく口を閉じるよう意識する、もし鼻炎などの問題があるならその治療を受けるなどして、鼻呼吸ができるようにしていきましょう。

 

4.まとめ

 

舌苔が多く付く場合には、それなりの原因があります。舌苔を取り除くことは可能で、それによって口臭を軽減させるといったことは可能ではありますが、ずっと厚く付着する場合には原因そのものを解決することを考える必要があります。

 

白い舌苔が多く付く傾向のある人はぜひ今回の記事を参考にして対策してみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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