口内炎が出来たら、何科を受診するの?

口内炎が出来たら、何科を受診するの?
痛い口内炎。しゃべっても食べても痛いし、辛いですよね。口内炎はおそらく誰でも経験したことのあるもので、多くの場合には自然に治ってしまいます。ところが、なかにはなかなか治らない口内炎や、繰り返しできる場合というのは、何らかの病気が原因している場合、もしくは口内炎ではなく違う病気である場合もあります。

今回は、口内炎になったら何科を受診するのが良いのか、口内炎の原因と治療方法、そして口内炎で医療機関を受診する目安についてご紹介していきます。

 

1.口内炎が出来たら、何科を受診するの?

口内炎の痛みが辛くて早めに症状を緩和したい場合、口内炎がなかなか治らないような場合には、「口の中の粘膜の病気」ということで、歯科、口腔外科を受診するのが一般的です。

それ以外にも、耳鼻咽喉科や内科でも診てもらうことができますが、歯や詰め物・被せ物、矯正装置といったものが粘膜を傷つけて口内炎になっていることも多いですし、歯科では口内炎に効果的なレーザーなどが備わっていることも多いため、まずはかかりつけの歯科医院で診てもらうと良いでしょう。

もしお近くに口内炎専門の外来がある場合にはそちらを受診するのもおすすめです。

 

2.歯科から病院に紹介される場合も

通常よく見られる口内炎は「アフタ性口内炎」と呼ばれ、1〜2週間程度で治癒します。このようなケースでは、一般の歯科医院でも対応が可能です。しかし、どんなに時間が経っても治る気配がない、というような場合には、全身的な要因、ウイルスなどの可能性、服用薬の副作用で免疫力が低下している、等を疑って、病院で診断を受ける必要があります。

もし、次に当てはまるような症状がある場合には、病院での受診が必要になってきます。

  • ・2週間以上経っても改善の兆しが見られない
  • 口内炎の炎症が限られた場所だけでなく、広範囲に広がっている
  • 発熱や全身の倦怠感といった、他の症状も同時に起こっている
  • 潰瘍から出血が見られる
  • 痛みが全くない

とはいえ、ご自分ではなかなか分かりにくい部分もありますので、まずはかかりつけの歯科で診察を受けていただき、必要となれば、歯科にて病院での紹介状が渡される、ということになるでしょう。

 

3.口内炎の原因と治療方法は?

3.口内炎の原因と治療方法は?

3-1口内炎の原因

口内炎には、厳密にはいくつか種類がありますが、その中で通常「口内炎」と呼ばれている最も頻繁に見られる「アフタ性口内炎」は、お口の粘膜にできる、痛みを伴う炎症性の潰瘍です。アフタ性口内炎ができる原因としては、次のようなものがあります。

 

3-1-1◆口の中の傷

食事中に口の中の粘膜を噛んだ、硬いもので粘膜を傷つけた、尖った歯や虫歯で欠けた部分が粘膜を刺激した、矯正器具や入れ歯の金具が当たる、というような刺激がきっかけになることが多くあります。

 

3-1-2◆口腔内の不衛生

お口の中があまり清潔でないと、細菌が大量に繁殖します。そこでちょっとした粘膜の傷ができると、そこに感染を起こして口内炎ができやすくなります。

 

3-1-3◆免疫力低下

病気やストレス、睡眠不足、疲れなどがあると、免疫力が低下し、口内炎もできやすくなります。

 

3-1-4◆栄養不足

ビタミンB群や鉄分などが不足することにより、口内炎ができやすくなることがわかっています。

 

3-1-5◆口内の乾燥

唾液は粘膜を保護していますが、薬の副作用や加齢、タバコなどで唾液の分泌が悪くなったり、口呼吸などによってお口の中が乾燥気味になったりすると、唾液の保護作用が働かず、口内炎を起こしやすくなります。

 

3-1-6◆アレルギー・過敏症

歯科金属に対する金属アレルギー、食物アレルギーなどがあると、口内炎の症状が出ることがあります。また、歯磨き粉の泡立ち成分に過敏な反応をして口内炎ができる人もいます。

 

3-2口内炎の治療方法

3-2-1◆歯科医院での治療

・塗り薬の処方

歯科医院で行われる口内炎の治療としてもっとも一般的なのは、塗り薬の処方です。口内炎で一番辛いのは、口内炎部分への接触刺激、食べ物による刺激ですので、軟膏を塗るだけでも傷口への刺激が遮断され、楽になります。また、軟膏の効用により炎症が和らぎますので、辛い痛みが緩和されます。

 

・レーザー治療

歯科用レーザーで口内炎の治療が可能です。口内炎の表面にレーザーを当てると、その部分が凝固し、接触痛が起こらないようになりますので、その後の生活がずいぶん楽になります。また、レーザーを当てた部分は治りが早くなります。レーザー照射はほんの数分もあれば終わります。照射の際には少しピリピリするような感覚がありますが、通常、苦痛になる程度のものではありません。

 

3-2-2◆セルフケア

・口の中を清潔にする

口の中を清潔にしておくことは、虫歯や歯周病を予防し、お口の健康を保つためにも大事ですが、口内炎ができてしまった場合は特に、お口の中の細菌をできるだけ減らすように、さらにお口の清潔を保つことが大事です。口内炎ができた時には、歯磨きはもちろんのこと、殺菌成分を含むイソジンなどの洗口剤でよくお口の中をゆすぐことをおすすめします。ただし、アルコール成分を含む洗口剤は傷口に沁みてしまいますので避けましょう。

 

・健康的な生活

夜更かし、ストレス過多の生活、寝不足は免疫を落としてしまいますので、なるべくそのような生活が続かないようにすることが大事です。また、栄養バランスの取れた食事をし、タバコを控えるなど、健康的な生活を送るようにしましょう。

 

・歯磨き粉をかえてみる

口内炎が頻繁にできるという方は、歯磨き粉の泡立ち成分(ラウリル硫酸ナトリウム)を疑い、その成分を含まないものを試してみると良いかもしれません。

 

4.口内炎で受診する目安は?

4.口内炎で受診する目安は?

通常のアフタ性口内炎なら、放っておいても1週間か2週間くらいで治ります。そのため、我慢できる方はそのまま様子を見ても良いですが、炎症が強く、痛みの症状があまりにも辛くて食事がとれない場合や、頻繁にできる場合、発熱などの症状もある場合、2週間以上経っても改善が見られない場合には、歯科、口腔外科、耳鼻咽喉科、内科のいずれかを受診されることをおすすめします。

その際、明らかにお口の粘膜を刺激しているもの(尖った歯や詰め物、矯正器具、入れ歯)がある場合には、粘膜を刺激しないようにする必要があるため歯科、口腔外科を。全身的な症状もある場合には、耳鼻咽喉科や内科といったように考えていただくといいですが、判断に迷われる場合には、ひとまず、お近くの歯科のクリニックに相談してみてください。

 

5.治らない口内炎を放置したら最悪どうなる?

あまりにも頻繁にできる場合、広範囲に及んでいる場合、2週間以上経っても改善が見られない場合、発熱などの症状も伴う場合には、ウイルス性のものの可能性や、他の病気が関係している可能性が高くなってきます。

もしそのような口内炎を放置した場合、原因の病気がひどくなってしまう恐れがあり、場合によっては命に関わってくることもあります。例えば、長期間に及ぶ口内炎は、実は口腔がんである場合もあり、放置することで手遅れになってしまうケースもあります。

 

6.まとめ

口内炎は、放っておいても1〜2週間程度で自然治癒するような、心配のいらないケースが多いですが、なかなか治らない場合や症状がひどすぎる場合には、やはり専門家に診てもらうのが安心です。

また、口内炎がよくできるという人も、根本的に何らかの問題があってできやすくなっていることが考えられますので、生活習慣を見直してみるなどしてみながら、改善がみられないようであれば、一度歯科医院で相談してみられることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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