親知らず抜歯後、穴が元に戻るまでの期間と塞がるまでに気を付けることは何があるの?

親知らず抜歯後、穴が元に戻るまでの期間と塞がるまでに気を付けることは何があるの?
親知らずを抜くと、それまでに骨に埋まっていた親知らずがなくなるのですから、当然ポッカリと穴があいてしまいます。

穴があいてしまうと

「食事に支障はないのだろうか?」

「穴が塞がるまでどのくらいかかるのだろうか?」

ということが気になってしまうのではないでしょうか?

実際に、親知らずを抜いた後というのは、抜いた穴に食べ物が詰まってしまいやすいですし、中には親知らず抜歯後の注意事項を守らずに感染を起こし、激痛が出てしまうケース、ということもあります。

そこで今回は、親知らず抜歯後、穴が戻るまでにどのくらいの期間がかかるのか、そして抜歯後の穴が塞がるまでにどんなことに注意したらいいのか、ということについてご紹介していきます。

1. 親知らずを抜歯した際の穴が元に戻る(塞がる)のは大体どのぐらいの期間?

親知らず抜歯をした後に穴が塞がるまでの期間は、歯の大きさや、歯が骨に埋もれている程度や状態、抜く際の傷口の大きさ、抜歯の方法など、人によって個人差があり、決まった回答というのはありません。ですが、抜歯の難易度によってある程度、次のような傾向があります。

歯茎の切開を伴わない簡単な抜歯の場合:1ヶ月程度

親知らずが深い位置に埋もれておらず、歯茎の切開をしなくても済むような、抜きやすい親知らずの場合です。

歯茎の切開を伴った難しい抜歯の場合:1ヶ月~半年程度

親知らずが骨の中に大きく埋まっているケースや、虫歯が骨より下まで行ってしまっているケースでは、歯茎を切開し、場合によっては骨も削って抜歯をする必要があります。このような場合には、抜いた後の穴が大きくなるため、必然的に穴が塞がるまでに期間が長くかかってしまいます。

実際に親知らずを抜かなければならないケースというのは、特に下の親知らずの場合、横向きに倒れていたり、斜めに生えていたりなど、骨に深く埋まっている場合が多く、このようなケースが多いと言えます。

これは、あくまでも大体の目安として参考にしていただき、ご自分の場合ではどうなのか、というのは、実際に治療を受ける歯医者に事前に聞いておかれることをおすすめします

1-1. 親知らずを抜いた後の穴はどうやって塞がる?

親知らずを抜いた後には、歯がそこからなくなった分、穴があきますが、その部分に血が溜まり、血餅という血の塊になります。そしてその血餅が徐々に歯茎の組織に置き換わっていくことで治癒が行われていきます。

1-2. 親知らずを抜いた後の穴がなかなか塞がらなくなる原因は?

ところが、何らかの原因で血が十分にたまらなかったり、一度できた血餅が剥がれてしまったりして、治癒が順調に起こらないと、穴がなかなか塞がらず、食事のたびに穴に食べ物が詰まってしまったり、歯磨きの際にもなかなか食べ物が取れず、痛みや口臭の原因になることがあります。

1-3. 親知らずを抜歯した際の穴が元に戻る(塞がる)のまでの期間 まとめ

歯茎を切らない簡単な抜歯の場合で1ヶ月程度、歯茎を切る難しい抜歯の場合は1ヶ月~半年程度。特に下の親知らずで深く埋まっているケースでは、穴が塞がるのに数ヶ月を要すこともある。

2. 穴が塞がるまでの間に気を付けることは何があるの?

抜歯後の穴というのはいずれ塞がるものではありますが、できるだけ早く穴を塞ぐためには、まずは「治りを妨げるようなことをしない」ということが大事です。特に下の奥の抜歯後には、時々、頻度として高くはありませんが、歯を抜いた後に骨の表面になかなか歯茎が形成されず、骨がむき出しになって強い痛みを伴う、「ドライソケット」と呼ばれる治癒不全の状態になることがあります。一度ドライソケットになってしまうと、長期間強い痛みに耐え続けなければならなくなり、非常に辛い思いをしてしまいます。

また、たとえ治癒が順調に行われている場合でも、穴があいている期間はどうしても出てしまいますので、その間に穴に溜まった食べ物のカスなどによる口臭といった不快症状は避けたいものです。

そのためには、抜歯後穴が塞がるまでの間、次のようなことに気をつけることをおすすめします。

2-1. 抜歯後にブクブクうがいをしすぎない

抜歯後の穴がスムーズに歯茎に覆われるようになるためには、抜いた穴の中に血の塊がきちんと形成されなければなりません。そのためには、抜歯をした後数日は、血の塊が剥がれないよう、特にうがいに気をつける必要があります。

抜歯した当日は出血が気になり、ついついブクブクうがいをしてしまう人が多いですが、うがいをしても血が止まるわけではなく、むしろ逆効果です。もし出血が気になるときは、ガーゼなどを噛んで圧迫して止めるようにしましょう。

2-2. 抜歯後の歯磨きに気をつける

抜歯後の穴にはどうしても食べカスが入ってしまいますし、抜歯した部分の細菌感染を気にして、ついつい歯ブラシでゴシゴシ、グリグリとやってしまう人もいるかもしれません

ところが、そうすることによって傷口をさらに傷めてしまうことになりますし、せっかくできた血の塊を剥がしてしまうリスクがあります。

抜歯後の穴に食べかすが入ってしまった場合は、その部分に圧をかけないように軽くゆすいで落とす程度にとどめましょう。仮に食べかすが取れなくても、食べかすが入ったまま治るというようなことはなく、きちんと排出されますので心配はいりません。どうしても取れなくて気になる場合には、歯医者で専門家に取り除いてもらうようにしましょう。

なお、抜歯をした隣の歯の歯磨きは、抜歯したところに触れないように慎重に行うようにしましょう。

2-3. 傷口を舌でなるべく触らない

抜歯後の穴はついつい気になってしまうので、舌で確かめるようにいじってしまいがちです。ですが、あまりいじると、傷口に溜まった血餅が取れてしまう可能性がありますので、不必要に舌で傷口を触ってみたり、吸ってみたりする(陰圧をかける)ような行為は避けましょう。

2-4. 抜歯後は刺激物や硬い食べ物を避ける

抜歯後少なくとも1週間は、食べ物にも気をつける必要があります。具体的には、香辛料を多く使った食べ物、酸味の強いもの、硬いもの、熱いものです。このような食べ物を口にすると、傷口に刺激が加わり、強い痛みを感じやすいため、極力避けるようにしましょう。特に硬い食べ物は、物理的に傷口にダメージを与えて再出血させてしまう恐れもあるため、できるだけ口にしないことをおすすめします。

2-5. 穴がふさがるまでの間に気を付けることまとめ

  • 血餅を流さないよう、抜歯後のうがいのしすぎには気をつける。
  • 歯磨き時に、抜いた場所を傷つけないようにし、食べかすが入ったら軽くゆすぐ程度にとどめる。
  • 傷口をやたらと舌でいじらない
  • 刺激物、酸味の強いもの、硬いもの、熱いもの、硬いものは、最低1週間は避ける。

3. まとめ

親知らずを抜いた後にできた穴が塞がるまでの期間は、最低でも大体1ヶ月くらいかかります。ただし、親知らずは深く骨に埋もれているケースも少なくなく、特に下の親知らずの多くはそれ以上かかると考えておいた方が良いでしょう。

抜歯後に歯茎に穴があいてしまうことは避けられません。ですが、抜歯後数日はうがいをしすぎない、抜歯した部分をむやみにいじらない、歯ブラシで傷つけないように気をつける、抜歯後1週間程度はなるべく傷口を刺激するものを控える、といった注意事項を守るだけでも、治癒期間を短縮できたり、抜いた後の穴が原因で起こる様々な不快症状を避けたりすることが可能になりますので、これから親知らず抜歯予定のある方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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