食後のチーズは虫歯予防に効果があるの?理由と影響は?

「カロリーが高い」「太る」「脂肪が多い」「塩分が高い」などといった、どちらかと言えばネガティブなイメージを持っていて、食べるのをなるべく控えている人もいるかもしれません。
ですが、チーズは乳製品であることから、カルシウムを多く含むなど、体によい一面も持っています。
そして実は、とくにチーズには虫歯予防効果のあることも分かってきているのです。
今回は、
・チーズが虫歯予防に効果がある理由
・食後のチーズが虫歯予防にもたらす効果について
・虫歯を防ぐチーズの種類と食べ方
についてご紹介していきます。
チーズを食べて歯を強くできるならぜひ試してみたいものですよね!
でもその場合、食べ方やタイミング、どんなチーズを食べるか、といったことも大事になってきます。
今回の内容が気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
1.チーズが虫歯予防に良い理由
チーズが虫歯予防に良いと言われている理由として、次のような要因が考えられます。
1-1口内をアルカリ性にしてくれる
歯は酸に弱く、長時間酸性の状態が続くと歯が酸に溶かされて、それが継続していくことで虫歯になっていきます。
虫歯にならないようにするためには、酸性に傾いたお口の中をいち早く中和する必要があります。
チーズはアルカリ性の食品ですので、食べることで酸性に傾いた口内をアルカリ性の方向へもっていってくれます。
1-2唾液の分泌が促進される
チーズに含まれるうまみ成分は唾液の分泌を促進します。
唾液は消化酵素としての働きがあることはよく知られていますが、そのほかにもお口の中を洗い流す「自浄作用」、酸性に傾いた口内のpHを整える「中和作用」、虫歯になりかけた部分を修復する「再石灰化作用」、口内にとって悪影響を及ぼす細菌を殺菌する「殺菌作用」といった働きにより歯や歯茎の健康を守っています。
チーズを食べることによってこのような働きが活性化することにより、虫歯になりにくくする効果が期待できます。とくによく噛む必要のあるハードチーズは、より唾液分泌の効果が期待できます。
1-3歯に必要なミネラルを多く含んでいる
食事をした後にはお口の中が酸性に傾き、歯の表面が酸によって溶かされ始めますが、唾液中のミネラルによる修復作用に加えて、チーズに含まれるリン酸カルシウムもミネラルを補充するのに働くと考えられ、さらなる虫歯予防効果が期待できます。
しかしこれは、リン酸カルシウムを含む食品なら何でもいいというわけではありません。
チーズの場合はリン酸とカルシウムが、カゼインというたんぱく質とともにあることにより結晶状態にならずに水に溶けやすい状態となっており、唾液中に溶け出すことでイオンとなって歯の再石灰化を促進すると考えられています。
1-4虫歯菌の付着を防ぐ
チーズなどの乳製品に含まれるたんぱく質であるカゼインは、歯のエナメル質に保護膜を作り、虫歯菌が歯に付着しにくくなるとされています。
2.食後のチーズが虫歯予防にもたらす効果
2-1世界保健機関WHOで正式に発表されている
チーズの虫歯予防効果は2003年、世界保健機関WHOから出されたレポートによって最も高いランクである「ほぼ確実」と発表されています。
チーズ以外に虫歯予防効果があることが「確実」されたものとしては、フッ素、チーズ、ノンシュガーのチューインガムなどがありますが、この中で純粋な食品として虫歯予防効果があるのはチーズだけだと言えるでしょう。
2-2虫歯ができるメカニズム
口内のpHは、ふだんpH6.8~7.0の中性に保たれています。
ですが、ものを食べたり飲んだりすると、pHは酸性に傾きます。
これはなぜかというと、酸を餌にして口内の細菌が酸を作り出すためです。
歯の表面を覆っているエナメル質は、pH5.5以下になるとミネラル成分であるカルシウムやリン酸が溶かされ始めていきます。この現象は脱灰(だっかい)と呼ばれます。
ですが、口内を満たしている唾液がある程度時間をかけてゆっくりと中性に戻していき、それと同時に唾液に含まれるミネラルを歯の表面に吸着させて再石灰化を起こすことで虫歯になることを防いでいます。
ところが、だらだらと飲み食いを続けたり、酸性の強いものを多く口にしたりしていると酸性の状態が続いてしまい、再石灰化が間に合わずに歯からミネラルがどんどん溶け出してしまって虫歯を作ってしまいます。
2-3食後のチーズが歯を守ってくれる
食事を食べた後、口内はしばらく酸性に傾いてしまいますが、チーズを食後に食べることより口内をより早くアルカリ性の方向にもっていきやすくなります。
しかも、唾液に溶けだしたチーズのカルシウムイオンとリン酸イオンが、飲食によって溶けだした歯の表面に吸着して歯を修復してくれる効果が期待できます。
酢のものやドレッシングをかけたサラダ、酸味の強い果物、炭酸水、ワインなど酸の強いものを口にした後には特に、歯を守る意味でもチーズを意識して食べるといいかもしれません。
ちなみに、フランスでは食後にチーズを食べる習慣がありますが、これは経験に基づく先人の知恵なのかもしれないですね。
3.虫歯を防ぐチーズの種類とその食べ方
3-1ハードタイプがより効果的
どんなチーズでも虫歯予防効果が期待できるのでしょうか?
実はチーズといっても様々なタイプ、種類のものがあり、その中でWHOによって「虫歯予防効果が高い」とされているのは、ハードタイプのチーズとされています。
ハードタイプのチーズが良いとされている理由としては、ハードチーズは水分が少なく、ミネラルが凝縮されているので摂取効率が良いことに加え、よく噛まないと食べられないので唾液の分泌が促されることが考えられます。
3-2プロセスチーズよりもナチュラルチーズを
チーズにはナチュラルチーズとプロセスチーズがあります。
日本でなじみが深く、スーパーなどでよく見かけるのはプロセスチーズで、これはナチュラルチーズを粉砕、加熱溶融し、乳化したものです。
虫歯予防により効果が高いのはハードタイプのナチュラルチーズです。プロセスチーズでも効果がないわけではありませんが、虫歯予防という観点で見るならば、やはりナチュラルチーズの方をおすすめします。
3-3ハードタイプのチーズのおすすめ
チーズには非常に多くの種類がありますが、代表的なハードチーズとしては次のようなものがおすすめです。
・コンテ
・グリュイエール
・パルミジャーノ・レッジャーノ
・グラナ・パダーノ
・ペコリーノ・ロマーノ
・チェダー(熟成したもの)
・エメンタール
・ミモレット
4.まとめ
チーズを虫歯予防目的で食べる場合、量はそれほど大事ではなく、食後にほんの少し食べるだけで十分ですので、くれぐれも食べすぎないようにしましょう。
チーズには塩分や脂肪も多いため、食べすぎには注意してください。
なお、妊婦さんがナチュラルチーズを食べると、リステリア菌やトキソプラズマ感染のリスクがあると言われています。ですが、国産のものであればリスクが低いと言われているので、そういったものを探してみるとよいでしょう。
また、チーズが虫歯予防になるからといって、食後に歯みがきをしなくても大丈夫、というわけではありません。
チーズの虫歯予防効果をより発揮するためには、チーズを食べた後に十分に余韻を楽しんだ後、少なくとも10~20分くらいは時間を置いてから歯みがきをすることをおすすめします。
この記事の監修者

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