口の中に血豆ができる原因と治し方

口の中に血豆ができる原因と治し方
口の中に血豆ができるというのは特に珍しいことではなく、おそらく誰もが経験するものです。ですが、見た目が黒いので、見つけた時には誰しも多かれ少なかれびっくりしてしまうことでしょう。

一般的に血豆は単なる内出血ですので、とくに心配するようなものではありません。
とはいえ、頻繁にできる場合や治らない場合にはその原因に対処する必要があるでしょう。

今回は、口の中に血豆ができる原因と治し方を中心にご紹介していき、要注意の血豆を放置した場合どうなるのか、ということについても解説していきます。

 

1.口の中に血豆ができる原因

 

血豆は専門用語では「血腫」と呼ばれているもので、皮下や粘膜下に血が溜まってしまった内出血の一種です。

内出血というと青あざを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、血豆の場合は皮膚や粘膜を挟んでしまったりなど、狭い範囲で何らかのダメージが加わり、多くの出血があった場合に起こると考えらえます。

口の中で起こりうるダメージとしては、口の中を噛んでしまう、硬いものが当たる、といったことが考えられるでしょう。

 

2.口の中を噛んでしまう場合

2.口の中を噛んでしまう場合

口の中を噛んでしまう原因には次のようなものがあります。

 

2-1疲れ

ものを噛むとき、私たちは意識せずとも口の中を噛まずにうまく噛めるように体が順応しています。ところが、疲れている時には脳の指令がうまくいかずに舌など、口の中をうっかりと噛んでしまいやすくなります。

これはおそらく皆さんも身に覚えがあるのではないでしょうか。

 

2-2歯並びの悪さ

重なり合っている歯がある場合、たとえば八重歯のある人は唇を噛みやすい傾向があります。これは、歯の位置がずれていることで唇や粘膜が巻き込まれやすくなってしまうためです。

 

2-3歯科治療後

詰め物や被せ物を新しくした後、入れ歯を新調した後には、噛み合わせがそれ以前と変わってしまうことがあります。通常は2,3日もすれば体が慣れて噛まなくなりますが、上下の噛み合わせ関係に問題がある場合にはずっと噛みやすい状態が続くこともあります。

 

2-4頬のたるみ

加齢による頬のたるみ、もしくは歳を取るにつれて歯や入れ歯が擦り減って噛み合わせが低くなることで起こる頬のたるみ、太って頬の粘膜が内側に張り出した場合においても、頬を噛みやすくなる現象が起こります。

 

2-5歯ぎしり

眠っている間には無意識の状態になりますので、歯ぎしりをしている人は、その際に口の中を噛んでしまうことがあります。

 

2-6顎関節症

顎関節症があってあごの動きがおかしくなっている、筋肉のバランスが悪くなっている場合にも口の中を噛むリスクが高くなると考えられます。

 

2-7親知らず

親知らずが上だけ生えていて下が生えていない、もしくはその逆など、片方しか生えていない場合、噛み合う相手がいないため、歯茎を噛んでしまいやすくなります。

 

2-8麻酔の影響

歯科治療で麻酔をすると、麻酔が切れるまでに2~3時間くらいかかります。
麻酔が効いている状態だと麻痺して感覚がなくなりますので、うっかり口の中を噛んでしまうということがよくあります。

 

3.硬いものが当たることによって起こる場合

 

上あごの天井部分にも血豆ができる場合があります。この場所は噛んでしまう場所ではありませんので、違う原因が関係していると考えられます。

可能性として考えられるのは、硬い物の刺激などでしょう。
たとえば、フランスパンやポテトチップス、揚げ物の衣、せんべいといったものを食べているうちに口の中を傷つけてしまうということがあります。

また、歯ブラシやストローを口の中に強くぶつけてしまった場合にも血豆ができる可能性があります。

 

4.口の中の血豆の治し方・対処法について

4.口の中の血豆の治し方・対処法について

基本的に、血豆は数日で自然治癒しますので、通常の血豆であれば特別治療は必要になりません。

ですが、同じところに繰り返しできてしまう場合にはその部分を刺激し続ける原因が存在している可能性があるため、一度歯科で相談してみることをおすすめします。

実際に刺激を取り除く方法としては次のような方法があります。

 

4-1 噛み合わせが原因の場合

歯科治療後数日の噛みやすさは一旦様子を見て、改善しなければ歯科医院で噛み合わせを見てもらってください。
かみ合わせに問題があるようであれば、調整をすることで改善していくことでしょう。

歯並びが悪い場合には噛みやすい部分を放置しておくことでずっと噛みやすい状態が続きますし、刺激が過剰になることで最悪、がんの発生につながることもあるため、噛みにくくするような治療、例えば矯正治療を念頭に入れたほうがいい場合もあります。

入れ歯が擦り減りすぎて噛み合わせが低くなり、頬を噛みやすい場合には入れ歯を作り直すことで改善が期待できます。

 

4-2歯ぎしりが原因の場合

歯ぎしりによるものが疑われる場合には、眠っている間にマウスピースをつけることで噛まないようにすることができます。歯ぎしりは歯に大きなダメージを加えるものでもありますので、歯を守る意味でもマウスピースの装着はおすすめです。

歯ぎしり用のマウスピースは保険適用で作製できますので、気になる人は歯科で相談してみましょう。

 

4-3顎関節症が原因の場合

顎関節症はストレスの解消などにより自然に症状が改善することもありますが、慢性的にある場合には就寝中のマウスピースを装着することで症状の改善が期待できる場合もあります。

 

4-4親知らずが原因の場合

親知らずが原因として考えられる場合、原因となっている親知らずを抜歯することで状況は改善するでしょう。

 

4-5たるみが原因の場合

加齢によるたるみには表情筋を鍛えるエクササイズも効果的ですので積極的にやってみるとよいでしょう。
太ったことによる頬の張り出しは、減量をすることで改善していくことでしょう。

 

5.口の中の血豆を放っておくとどうなるの?

 

5-1形がおかしい、すぐに治らない場合には診察を受けましょう

基本的には通常の血豆ならば放っておいても自然治癒するので問題はありませんが、それが普通でない血豆の場合、たとえば、形が普通と違う場合や、同じところにずっとできている場合など様子がおかしいと思われる場合には単なる血豆でなく何らかの病気が関係している可能性があるので、歯科医師の診察を受けましょう。

もしがんなどの病気の場合には放置しておくことで命にかかわることもあるため、放置しないようにしましょう。

歯科を受診する目安としては、

  • 同じ場所に繰り返しできる
  • 2週間以上たっても治らない
  • 血豆が複数できている
  • 血豆の形がいびつ
  • 血豆がどんどん大きくなっている
  • 血豆がつぶれて出血が止まらない

 

といったことがある場合です。
該当するようであれば早めに歯科医の診察を受けましょう。

 

5-2つぶしたら早く治る?

血豆があると口の中に出っ張りができるので気になってつぶしたくなる人もいるかもしれません。

ですが、血豆はつぶしても早く治ることはなく、逆にそこから細菌感染を起こして状況が悪化する可能性がありますので、わざわざつぶすことはやめましょう。

 

6.まとめ

時々できる血豆ならば特に心配する必要はありません。
ですが、なかには口の中に問題があってできている場合や、重大な病気が血豆のように見えているケースというのもあります。

口の中は体の内部と違い、鏡でご自分でチェックできる場所ですので、もしおかしいなと感じることがあるならば、早めに歯科で診断を受けることが大事です。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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