歯医者でオエッとなる嘔吐反射の原因は何?対処法はある?

歯医者でオエッとなる嘔吐反射の原因は何?対処法はある?
歯医者で口の中に器具を入れられたり、型取りの材料を入れられたりするとそのたびにすぐオエッとなってしまう、というお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

喉の近くを触れると吐き気を催す「嘔吐反射」は、正常な生体反射で、体を守るために大事なものです。ところが、それが過剰に出てしまうと歯科治療の際に支障をきたしてしまい、治療が正常に行えなくなることもあります。

また、嘔吐反射がつらくて歯医者に行くのがおっくうになってしまい、虫歯や歯周病が放置され、悪化してしまうことも。

今回は、

  • 嘔吐反射の原因は何なのか?
  • 歯科治療で嘔吐反射が起こる状況
  • 嘔吐反射を自分で治す方法
  • 歯医者で行ってもらえる嘔吐反射対策

 

についてご紹介していきます。
嘔吐反射が強くお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

 

1.嘔吐反射の原因は?

 

1-1体を守るための反応

嘔吐反射は体が自身を守ろうとする生理機能の一つで、異物が体内に入るのを阻止する目的で起こる正常な反応です。

ですが、その程度は人によってさまざまで、もともと反応が強い人もいれば弱い人もいます。
また、その日の体調などによってもその程度が変わってきます。

 

1-2精神的な要因によるもの

心理的な要因により嘔吐反射が起こる場合もあります。
これは、過去に歯科治療で怖い思いや嫌な思いをしたことがきっかけとなり、極度に緊張、不安、恐怖を感じることで過剰な嘔吐反射が起こってしまうもので、歯科恐怖症の一つの症状だと言えます。

ひどい場合には、口の中にミラーを入れただけで起こることもあり、歯科治療が不可能になってしまうこともあります。

もし普段、歯磨きをしても嘔吐反射が起きないのに、歯科治療になると過敏に反応して吐き気が起こる場合、これは不安や緊張から起こる嘔吐反射だと考えてよいでしょう。

 

1-3口呼吸をしている場合

口呼吸をしている人が歯科治療を受ける際、呼吸がしづらくなることにより苦しくなって嘔吐反射を起こすことがあります。

 

2.歯科治療で嘔吐反射を起こす状況とは

 

歯科治療時には、次のような状況で嘔吐反射が起こりやすくなります。

  • 歯型をとる材料を口の中に入れた時
  • レントゲンのフィルムを口の中に入れた時
  • 口の中に溜まった唾液や水、削りカスをバキュームで吸う時
  • 奥歯の位置に器具や機械が入った時
  • 大きな入れ歯を入れた時

しかし、反応が強い方の場合、口の入り口部分に少し器具が入っただけ、ひどい場合には口を開けるだけで嘔吐反射が起こることもあります。

歯科治療では口の中を触るという行為はどうしても必要になってきますので、嘔吐反射の強い方はお口の健康を守っていくためにも、いざという時のためにも、対策法を知っておくことが大切です。

 

3.嘔吐反射を治す方法(患者様本人)

 

3.嘔吐反射を治す方法(患者様本人)

 

まず、ご自身でできる嘔吐反射対策もあります。具体的には次のような方法があります。

 

3-1嘔吐反射が強いことをあらかじめ伝えておく

嘔吐反射が強いことを歯科医師やスタッフに伝えておくことで、口の中に器具や機械を入れる際に気を付けてもらうことができます。

また、嘔吐反射を起こしにくいようにする姿勢で治療をしてもらえたり、さまざまな対処法を提案してもらったりすることができます。

 

3-2嘔吐反射に対する設備の整った歯科医院を選ぶ

強い嘔吐反射は精神的なものから来る場合が多いため、精神的な不安を和らげるための麻酔などの設備を整えている歯科医院であれば、より安心して治療を受けることができます。

このような情報は歯科医院のホームページ上に記載されていることもありますし、わからないようであれば事前に電話で問い合わせておくとよいでしょう。

 

3-3腹筋に力を入れる

腹筋に力を入れることで、吐き気を抑制する効果が期待できます。

 

3-4ふだんから鼻呼吸をできるようにしておく

口呼吸が習慣になっている人はどうしても嘔吐反射が起きやすくなってしまうので、普段から意識して鼻呼吸を心がけるようにしましょう。鼻炎などが原因の場合はそちらの治療も行っておきましょう。

 

3-5なるべく他のことを考えるようにする

治療に対して過剰に意識をしているとどうしても緊張や不安を感じやすくなり、それが心理的なストレスとなって嘔吐反射という形で出てしまうことがあります。
そのため、治療の前にはあまり考えすぎず、他のことを考えるのも効果的です。

 

3-6治療中は少しあごを引いておく

治療中にあごを少し引いておくことで、唾液や削りカス、水などが喉のほうに流れることを極力防ぐことができます。

とくに、ドロドロとした材料で型取りをする際には、材料が喉の方に流れないようにするために、座った姿勢であごを引き、ゆっくりと鼻で呼吸をすることが大事です。

 

4.歯医者でやってもらえる嘔吐反射対策

 

4.歯医者でやってもらえる嘔吐反射対策

 

4-1口の中にスプレーの表面麻酔をする

もともと嘔吐反射が強めの人の場合、お口の粘膜の感覚を鈍感にするために、口の奥の方の粘膜にスプレー状の表面麻酔を施す方法が効果的な場合があります。

 

4-2笑気麻酔をする

笑気麻酔というのは、鼻から笑気ガスを吸うことで恐怖心や緊張が取れ、リラックスした気分で治療が受けられるものです。歯科恐怖症の人の場合にはこの方法が効果的ですが、歯科医院によって行っているところとそうでないところがあるので、事前に確認をしておきましょう。

 

4-3静脈内鎮静法を行う

腕に鎮静剤を点滴することによって不安感を取り除き、半分眠ったような状態で治療が受けられる方法です。この方法はおもに、ある程度時間のかかる外科治療、たとえば親知らず抜歯やインプラント治療といった場合に行われます。

こちらも歯科医院によって取り扱いのあるところとないところがあるので、事前に確認をしておきましょう。

 

4-4レントゲンフィルムを小さい物にする

レントゲンフィルムを口の中に入れることで嘔吐反射が起きる場合、可能であればフィルムの大きさを小さめのものに変えることで反射を起こりにくくすることができます。

 

4-5少し起こした姿勢で治療を行う

治療をする姿勢は、水平位よりも頭部を起こした状態のほうが嘔吐反射は起こりにくくなります。

 

4-6型取り時に工夫をする

嘔吐反射が起こりやすい治療行為でトップに挙げられるのは、やはり歯の型取りです。この原因として、ドロドロとした型取りの材料が喉の奥に流れやすいということが挙げられます。

しかし、型取りのトレーを小さめのものにする、使用する材料を最小限の量にして喉に流れにくくする、材料の硬さを軟らかすぎないようにする、といったことで嘔吐反射を起こしにくくすることが可能です。

 

4-7型取りをスキャナーで行う

近年では、歯型の型取りをスキャナーで行えるようになってきています。スキャナーでは材料を使わず、歯に光を当てるだけで短時間で型取りが行えるため、嘔吐反射を起こらないようにすることができます。

 

5.まとめ

 

以上、嘔吐反射が起きる原因、そしてその対処法についていくつか紹介しました。
嘔吐反射の強い人の中には歯科治療が無理だとあきらめている人もいるかもしれません。

ですが、多くの場合には過去に受けた恐怖や嫌な体験がトラウマとなり、深層心理に刻み込まれて治療のたびに嘔吐反射という身体症状となって現れてきている、ということが考えられます。

歯の治療が必要なのにもかかわらず放置してしまうと、歯を早く失ってしまうリスクが高くなります。
歯科医師は嘔吐反射の強い方に対する対処法を心得ていますので、嘔吐反射で悩んでいる方は、ためらわずにまずは歯科医師に相談してみましょう。

また、安心して治療が受けられる歯科にかかることも大事です。信頼できる歯科医師にかかることで、歯科への恐怖感がなくなり、嘔吐反射がだんだんと少なくなる人もいますので、あせらず、自分に合った歯科医師を見つけていきましょう。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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