40代、50代で親知らずを抜歯するのは危険?
親知らずの抜歯というと若い時に行うというイメージ、そして大変というイメージがあるので、体力的に耐えられるのか、また持病のある方はリスクについても気になりますよね。
そこで今回は、
- 40代、50代の親知らず抜歯は危険なのか
- 親知らずを早めに抜歯したほうがいい理由
- 年代別、親知らず抜歯のと特徴、メリット・デメリット
についてご紹介します。
1.40代、50代の親知らず抜歯は危険なの?
40代、50代の親知らず抜歯が危険か?というと、必ずしもそういうわけではありません。
親知らずと言っても、たとえば上の親知らずと下の親知らずでは骨の状態、歯の形も違いますし、埋まり方、歯の状況によっても抜歯の難易度は異なります。
また、健康状態に関しても人それぞれなので、全ての人にとって危険ということはありません。
ですが40代、50代になると、次のような面で親知らず抜歯のリスクが高まりやすくなります。
1-1歯が抜けにくく抜歯が大変になる
骨は年齢を重ねるにつれ硬くなっていきます。また、歯と骨をつないでいる歯根膜の幅が狭くなり、癒着したような状態になってきます。
これらのことから若い頃に比べて歯が抜けにくく、それによって抜歯が長時間にわたってしまうリスクがあります。
抜歯が長時間にわたるとそれだけでも大変ですが、傷口が長時間空気にさらされることで治りが悪くなることにもつながります。
1-2傷口の治りが遅くなり症状が長引きやすい
歳をとるにつれて新陳代謝が落ちてくるため、傷口の治りがだんだんと遅くなってきます。そうすると痛みや腫れの症状が長引き、辛い思いをする期間が長びく恐れがあります。
1-3基礎疾患・服薬によるリスクがある
40代くらいになると、高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持つ人も増えてきます。
また、女性の場合だと閉経後に骨粗鬆症になる人も出てきます。
親知らず抜歯は出血を伴う処置です。また、抜歯だけでなく歯茎の切開や骨を削ることも少なくないため、持病がある場合にはそれだけでもリスクになりますが、持病に対して薬を飲んでいる場合にはその作用によってもリスクを伴うことがあります。
1-4口が開きづらくなっている
年齢を重ねると、お口が開きづらくなることも少なくありません。ですが親知らず抜歯の際は大きく口を開け続ける必要があります。
特に埋もれた下の親知らずを抜く場合には抜歯に時間がかかり、お口を開けるだけでも辛い思いをしてしまうことがあります。
2.親知らずは早めに抜歯したほうがいい?その理由は?
親知らずは抜かなくても問題ないケースもありますが、将来的にトラブルを起こす懸念がある親知らずの場合には早めに抜歯をすることが推奨されます。
親知らずを早めに抜くことが勧められる理由として、次のようなことが挙げられます。
2-1抜きやすい
若いうちは骨もやわらかいため、歯と骨の癒着もありません。そのため、若い時ほど抜歯の際に早く抜けてきてくれる傾向があります。
また、10代の頃には歯根が完全に完成していないことも多く、歯根が短いため、根っこが引っかかって出てこない、ということも起こりにくいです。
2-2健康面のリスクが少ない
若い頃には抜歯時にリスクを伴うような基礎疾患や薬の服用があることも少ないため、
健康面においてもより安心です。
2-3治りが早い
若い時は新陳代謝が良いので傷口の治りも早く、症状が長引きにくいです。
2-4虫歯や歯周病になるリスクを減らせる
親知らずは非常に奥の位置にあるため、歯ブラシが行き届きづらく、虫歯や歯周病のリスクが非常に高い歯で、隣の歯にも悪い影響を及ぼすことがよくあります。
早めに抜くほどこのようなリスクを回避できます。
2-5歯並びを乱すリスクをなくせる
歯が生える際、その向きによっては手前の歯を押す力がかかることがあります。このような力は手前にある歯すべてにかかってきますので、その状態が長く続くと歯並びが乱れてしまうリスクがあります。
若いうちに抜いておくと、このような弊害も未然に防ぐことができます。
3.年代別、親知らず抜歯の特徴、メリット・デメリット
親知らず抜歯について、年代別に特徴とメリットとデメリットをまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
3-1 10代
親知らずは一般的に10代後半以降に生え始めます。この時点で親知らずの埋まり方、生え方に問題がある、虫歯や歯周病のリスク、歯並びを乱すリスクが懸念されるようであれば、できるだけ早めの抜歯が望ましいです。
<メリット>
- 親知らずの被害を最小限にできる
- 健康で体力のあるうちに抜くことができる
- 抜きやすく症状が長引きにくい
<デメリット>
- 生えている途中段階の場合、歯茎の切開、骨の切削が必要になることがある
3-2 20代
この頃になると、親知らずが生えている人が多くなります。20代も10代と同じく、まだ若いので、この時期に抜くのはデメリットよりもメリットが大きいと言えます。
<メリット>
- 親知らずの悪影響がまだ少なめのうちに抜歯できる
- 健康で体力のあるうちに抜くことができる
- 抜きやすく症状が長引きにくい
<デメリット>
- 親知らずの影響ですでに歯並びのズレが起きている可能性がある
- 親知らずの歯茎の炎症や虫歯のトラブルが起こっている可能性がある
3-3 30代
親知らずは30代になっても生えてくることは珍しくありません。ですが、この年代くらいからだんだんと歯周病の人が増えてくるなど、健康面でもお口の状態の面でもトラブルが起きてくる人が増えてきます。
<メリット>
- まだ健康面、体力的に問題がないことも多い
- 骨はそこまで硬くなっていない
<デメリット>
- 親知らずの影響ですでに歯並びのズレが起きている可能性がある
- 親知らずの歯茎の炎症や虫歯のトラブルが起こっている可能性がある
- 年齢的に基礎疾患を抱えるリスクが出てくる
3-4 40代
40代になると、親知らずが出てくることもほとんどなくなります。ですが状態の悪い親知らずを放置している場合、さまざまな不具合が出ている可能性が高く、健康面でも不安要素を抱える人が増えてきます。
<メリット>
- 体力的に大丈夫なことも多い
<デメリット>
- 健康面に問題を抱える人が増えてくる
- 親知らずの影響ですでに歯並びのズレが起きている可能性がある
- 親知らずの歯茎の炎症や虫歯のトラブルが起こっている可能性がある
- 骨が硬くなって抜きにくくなってくる
- 傷の治りが遅くなってくる
- 口が開きづらくなってくる
3-5 50代
50代では基礎疾患を持つ人が増えてきます。また、更年期の影響も加わり、骨の状態が悪くなる人が増えてきます。
<メリット>
- 少ない
<デメリット>
- 基礎疾患のため、抜歯のリスクが高くなる人が増える
- 親知らずの影響ですでに歯並びのズレが起きている可能性がある
- 親知らずの歯茎の炎症や虫歯のトラブルが起こっている可能性がある
- 骨が硬くなって抜きにくくなってくる
- 傷の治りが遅くなってくる
- 口が開きづらくなってくる
- 骨粗しょう症を患う人が増えてくる
3-6 60代
この年代になると親知らずを抜く人は珍しくなってきますが、もし抜歯をする場合、親知らずの状態によっては体力的にもリスクの面でも難しくなってきます。
<メリット>
- 少ない
<デメリット>
- 基礎疾患を持っている人が増え、抜歯のリスクが増す
- 骨が硬くなって抜きにくくなってくる
- 傷の治りが遅くなってくる
- 口が開きづらくなってくる
- 骨粗しょう症を患う人が増えてくる
- 長時間の抜歯は体力的に難しくなってくる
- 親知らずの影響ですでに歯並びのズレが起きている可能性がある
- 親知らずの歯茎の炎症や虫歯のトラブルが起こっている可能性がある
4.まとめ
40代、50代での親知らず抜歯はすべてが危険というわけではありませんが、やはり若いころに比べれば健康面のトラブルやお口の状態の変化などの理由で抜歯が大変になりやすいということが言えるでしょう。
親知らずがあっても問題のないケースというのはありますが、実際にトラブルを起こすケースというのも多く、もしご自分の親知らずが何らかのリスクが懸念される場合、若いうちに抜いておくほうが安心です。
親知らずを抜いたほうがいいかどうかは、歯科医院でレントゲンを撮影すればわかりますので、気になる人は一度歯科医院で確認してもらうことをおすすめします。
この記事の監修者
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