オーラルフレイル(口腔機能の低下)を予防しよう!原因と対策は?
今回は、オーラルフレイルの症状、原因、そして予防・対策法についてご紹介します。
1.オーラルフレイルとは
1-1早期の老化サイン
オーラルフレイルとは、体の衰え(フレイル)の一つであり、お口の軽い機能低下のことです。これは、早期の重要な老化のサインとされており、放置していると、低栄養状態から活動性の低下、心身機能の低下、社会性の低下を招き、最終的には寝たきり状態になりやすくなると言われています。
ですが的確に対処することで、できるだけ元に戻していくことが可能であり、より早めに気づいて対処をすることで、機能低下を防ぎ、長く健康な状態を保っていくことができます。
1-2サインを早めに見つけることが大事
オーラルフレイルは、突然起こるものではなく、徐々に始まるため、最初のうちは気が付きにくいものです。また必ずしも全ての人に起こるわけではなく、個人個人のお口の状況や生活習慣などによっても起こりやすさに差があります。まずは、オーラルフレイル症状とはどのようなものか、というのを知っておくことで、早めに対処をすることができ、それ以上の悪化を防いでいくことができるので、ぜひその症状について確認しておきましょう。
2.オーラルフレイルの症状
2-1オーラルフレイルのチェックリスト
次は典型的なオーラルフレイルの症状です。当てはまる項目が多いほど、オーラルフレイルを起こしている可能性が高いと言えますので、ご自身やご家族の現在の状況を把握するためにもぜひチェックしてみてください。
- 噛めない食品が増えてきた
- 食べこぼすことが多くなってきた
- 歯磨きがおろそかになってきた
- 汁物やお茶を飲む時に咳き込む
- 滑舌が悪くなってきた
- 口の中が乾燥気味
- 食欲があまりない
- 体重が減ってきた
- 家に引きこもりがち
一つ一つの症状はそれほど生活に支障を及ぼさないため、「歳をとったから仕方がない」と、軽視されがちです。ですが、一つでも当てはまるものがある場合にはオーラルフレイルが始まっている可能性があるので十分な注意が必要です。
2-2オーラルフレイルが進行するとどんなことが起こる?
オーラルフレイルを放置していると、次のようなことが起こってきます。
◆低栄養状態になる
噛む力、飲み込む力が衰えていきますので、食べるもの、量が限られるようになり、十分な栄養がとれなくなります。
◆家に引きこもりがちになる
舌の動きが徐々に悪くなって会話がおっくうになり、人との交流を避けて家に引きこもりがちになります。
◆誤嚥性肺炎を起こしやすくなる
飲み込む機能が衰えるので、食べ物や唾液を誤嚥しやすくなり、肺炎を起こしやすくなります。このような要因から、オーラルフレイルの症状がある人は、そうでない人に比べて、要介護や死亡のリスクが2倍になるとも言われています。つまり、オーラルフレイルは、近い将来において全身が衰えるかもしれない重要なサインだと言えるのです。
3.オーラルフレイルの原因
オーラルフレイルを引き起こす原因となるのは、主に次のようなことです。
3-1加齢による筋力低下
筋肉は年齢とともに減り、衰えていきます。それは、口周囲の噛む筋肉、飲み込む筋肉、舌の筋肉、話す筋肉などにおいても同様です。ただし、皆が同様に衰えていくわけではなく、よく噛まない、あまり話さない人の場合には特に衰えが早くなる傾向があります。
3-2虫歯や歯周病
虫歯や歯周病にかかっていて痛い歯やしみる歯があっても「歳だから」と、治療を受けずにいると、しっかりと噛めない状態となってしまうため、お口の機能が早期に衰えやすくなります。
3-3歯の喪失
歯を失ったまま放置していると、きちんと噛むことができず、筋肉の衰え、唾液の分泌低下などが起こり、栄養状態も悪くなってしまいます。
3-4合わない入れ歯の使用
入れ歯が入っていても合わない状態で使用していると、あまり噛むことができず、しっかりと食事を摂ることができなくなりますし、唾液もあまり出なくなっていきます。また、喋ると入れ歯が外れてしまう場合、会話もおっくうになり、こちらも筋力低下、唾液減少につながります。
3-5人との関わり合いの減少
定年退職などにより人との関わり合いが少なくなってくると、お口の衛生や健康状態への関心が低下し、歯磨きが十分に行われずお口の健康状態が悪化、お口の機能低下が起こりやすくなります。また、会話することも少なくなるため、筋力が低下していきます。
3.オーラルフレイルの予防、対策
オーラルフレイルは、適切な対応により予防ができます。オーラルフレイルの予防方法について見ていきましょう。
3-1お口を清潔に保つ
虫歯や歯周病を防ぎ、歯を失わないために、1日に2回は歯磨きをし、お口の清潔を保つようにしましょう。お口を清潔な状態に保つことにより、たとえ食べ物や唾液を誤嚥しても肺炎を起こすリスクを下げることができます。
3-2噛めない状態を放置しない
虫歯や歯の抜けているところを放置せず、歯科治療を受けてきちんと噛める状態にしておきましょう。また、定期的に検診を受けて、悪いところは早めに治すようにしておくことが大事です。入れ歯はずっと使っていると外れやすくなったり、噛みづらくなったりしますので、総入れ歯であっても定期的に検診を受け、ピッタリあった状態を維持するようにしましょう。
3-3口周囲の筋肉を意識して使う
年齢を重ねるにつれ、筋力低下などはどうしても起こってくるため、日頃から筋肉を衰えさせないよう、よく使っておくようにしましょう。簡単にできることとしては、よく噛む、よく会話する、歌う、声に出して文章を読む、など、口を動かすことを普段から意識して行うと良いでしょう。
3-4オーラルフレイル対策口腔体操をやってみる
インターネットでもオーラルフレイルを予防・改善する口腔体操が色々と紹介されていますので、取り組んでみることをおすすめします。日本歯科医師会も、口周囲の筋肉の機能向上のための腔体操を推奨していますので、ご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
4.まとめ
お口の機能が弱くなっていくと、食べる、話すといったことが不便になり、だんだんと気力や人生の楽しみがなくなっていき、悪循環に陥っていきます。オーラルフレイル対策は、早めのうちに取り組んでいくことで、機能を取り戻していくことが可能ですので、是非とも早期のサインを見逃さないようにしましょう。今回オーラルフレイルのチェックリストに当てはまった方も、現在はまだ当てはまらないという方も、今回ご紹介した対策法を積極的に行っていくことで、改善や予防ができる可能性がありますので、ぜひ試してみてください。
もし、なかなか自分では改善するのが難しい、という場合には、歯科医院でなんらかの治療、もしくはアドバイスを受けると改善できる可能性がありますので、一度相談してみることをおすすめします。
この記事の監修者
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