白い口内炎と赤い口内炎、それぞれの特徴とできる原因
そしてその見分け方として、色が大きな決め手になることもあります。
口内炎でよく見られるものとして、白い口内炎と赤い口内炎がありますが、今回は、それぞれの特徴や原因について、また口内炎と間違いやすい病気についてご紹介していきます。
1.口内炎には、白い口内炎と、赤い口内炎があるの?
口内炎の種類として、代表的なものとしては、
- アフタ性口内炎
- カタル性口内炎
- ウイルス性口内炎
- カンジダ性口内炎
- ニコチン性口内炎
が挙げられます。「口内炎」というように、口の中にある「炎症」であることから、どの口内炎の場合であっても、炎症の兆候である「赤み」というのは出てきます。
そのためいずれの口内炎の場合であっても、赤い部分というのは現れてきます。その中で、白い部分が現れてくるものがあります。
2.赤い口内炎の種類と特徴
全体として赤い口内炎として見られるのは、「カタル性口内炎」と呼ばれるものです。これは、歯周病や、入れ歯や不適合の被せ物などの物理的な刺激、やけどなどをきっかけに、特に、疲労が溜まっている状態や免疫力が低下した際に、その部分に細菌が繁殖することによって起こります。
見た目は、赤く点状になっていたり、ただれたような状態になっていたりなど、はっきりとした境界線はありません。全体的に赤く熱を持って腫れた感じで、粘膜が荒れたようになり、口内炎だと言うことに気づかれない場合も多くあります。
痛みの程度はそれほど強くない場合が多いですが、味覚の低下や口臭が強くなることもあります。舌で触れるとザラザラした感じで、味の濃いもの、刺激の強い食べ物でヒリヒリしたり、しみたりなど、痛みに敏感になります。
3.白い口内炎の種類と特徴
白くなる口内炎は、先ほど挙げた口内炎のうちの、カタル性口内炎以外のもの、つまり、アフタ性口内炎、ウイルス性口内炎、カンジダ性口内炎、ニコチン性口内炎です。
それぞれの特徴は次の通りです。
3-1アフタ性口内炎
最も一般的に見られる口内炎で、通常、「口内炎」と言う場合、大抵はこのアフタ性口内炎のことを指します。アフタ性口内炎は、大体直径1cm未満の境界線がはっきりとした白い、もしくは黄白色の潰瘍で、その周囲が赤く炎症を起こして腫れ上がっていますが、でき始めの頃は潰瘍部分が目立たないこともあります。
痛みは強く、口を動かして擦れるたびに、もしくは食べ物が触れる際に特に痛みを感じます。味の濃いものなどでもしみるので、食事を摂るのが難しくなることもあります。通常、放っておいても1~2週間で自然に治癒しますが、中には繰り返しできる場合もあり、そのような場合には「再発性アフタ」と呼ばれます。
原因としては、免疫力の低下、栄養不足(特にビタミンB類)、ストレス、機械的刺激、歯磨き粉の発泡成分などで、口腔内が不衛生な状態だとよりできやすくなります。また、全身疾患の影響(ベーチェット病など)の一症状として出ることもあります。
3-2ウイルス性口内炎
ウイルス感染が原因で起こる口内炎で、通常、乳幼児に見られます。ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、手足口病などの感染症により、お口の中に小さな水疱が多発し、それが破れてアフタ性口内炎のような見た目になります。
通常、発熱やリンパ節の腫れ、食欲低下など、他の症状も一緒に起こります。
3-3カンジダ性口内炎
口の中の常在菌であるカンジダ菌が過剰にお口の中に増殖することによってカンジダ性口内炎を起こすことがあります。免疫が低下したり、ステロイド薬や抗生剤を服用したりすると、お口の細菌バランスが崩れ、カンジダ菌が優勢になるとカンジダ菌が異常に増えてしまい、白い苔のようなものが、お口の粘膜上に点状、斑状になって現れます。放置すると全体に広がるようになります。
白い部分を拭うと取り去ることができますが、その下は赤く炎症を起こしたようになっており、ヒリヒリ、ピリピリする感覚があります。また、口の中の違和感や舌のしびれ、味覚異常といった症状を伴うこともあります。
免疫の低下した高齢者や乳幼児に起こりやすい傾向があります。
3-4ニコチン性口内炎
特にヘビースモーカーに見られやすい、慢性的な喫煙が原因となって起こる口内炎です。口の中の粘膜に赤い発疹ができることがありますが、時間が経つとともに白く変化し、肥厚していきます。タバコの煙は、口の中の天井部分に当たりやすいので、この場所に頻発します。
自覚症状はほとんどありませんが、飲食時にしみることがあります。タバコに含まれる化学物質にさらされること、熱気による軽いやけど、タバコを吸うことによって起こる口内の乾燥、喫煙によってビタミンCが消費されることなどが継続し、発症に関わっていると考えられています。
ニコチン性口内炎は、がん化するリスクがあるため注意が必要です。その場合、粘膜がえぐれたような状態へと変化していきます。
4.白いできもの、口内炎ではない場合があります
よく口内炎と間違いやすい白いできものとしては、
- フィステル
- 白板症
- 扁平苔癬
- 口腔がん
があります。それぞれみていきましょう。
4-1フィステル
神経を抜いた歯に起こることがあるもので、歯根の周囲に膿が溜まり、それが歯茎に膿の排出口を作っている状態です。神経を取っていなくても、神経が死んでしまっている場合にも同様のことが起こる場合があります。
見た目はニキビのように見え、アフタ性口内炎と勘違いされることもありますが、アフタ性口内炎のように強い痛みは感じません。
自然に治ることはなく、根の治療を行う必要があります。
4-2白板症
口の中の粘膜にみられる白斑ですが、カンジダ性口内炎とは違って、擦っても剥がれません。40歳以降の男性に多い傾向があります。前がん病変としても知られ、10%ほどががん化すると言われています。特に舌の側面にできたものはリスクが高いとされています。
白斑のみの場合には、痛みがないケースが多いですが、赤い部分がある場合や、ただれている場合には刺激痛が起こります。原因は不明とされていますが、喫煙や飲酒、化学的刺激、物理的刺激、栄養不足、加齢などが発症に関わっていると言われています。
治療法としては、発症に関わる因子を除去しながら経過観察、もしくはがん化しそうな場合には外科的な除去を行います。
4-3扁平苔癬
皮膚や粘膜が角化し、炎症をともなう病気です。お口の中では頬の内側に現れやすいのが特徴です。粘膜に、角化した部分がレース状に現れ、周囲が赤くなります。ただれたり潰瘍になったりすることもあり、その場合には接触痛が起こります。
自己免疫疾患、アレルギー、遺伝、ストレスなどとの関連が疑われていますが、はっきりとした原因はわかっていません。治療としては、ステロイドやうがい薬を使う方法やアレルギーが疑われる場合には、金属などアレルギー源の除去などが行われます。
4-4口腔がん
口腔がんはお口の中の粘膜のどこにでも起こりうるもので、アフタ性口内炎と似たような見た目で現れることがありますが、がんの場合には自然治癒することはなく、だんだんと見た目が悪化していきます。
見た目の割には痛みを感じないのが特徴で、もし、アフタ性口内炎のようなものができて2週間以上経っても変化がない、というような場合には、一度早めに歯科を受診することをおすすめします。
5.まとめ
通常、多くの人によく起こる口内炎は、放っておいても自然に治るので、痛みが強いながらも軽視される傾向がありますが、今回ご紹介したように、口内炎にも種類があり、注意が必要なものもあること、そして口内炎と間違いやすい危険な病気もあることから、症状の現れ方には念の為、注意を払うことが大事です。
お口の粘膜に異常が現れた場合には、状態をよく観察し、普通の口内炎と違うと思ったら、一度早めに歯科を受診するようにしましょう。
この記事の監修者
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