舌磨きはしたほうがいい?効果はあるの?メリットとデメリット

舌磨きはしたほうがいい?効果はあるの?メリットとデメリット
舌の上につく舌苔。舌磨きをして取ったほうがいい、取らない方がいい、両方の意見があって混乱している人もいるのではないでしょうか。相反する2つの意見を聞くと、どうしたらいいのかわからなくなってしまいますよね。

 

なぜこのように反対の意見が出てくるのか、それは、舌磨きというのは、効果があると言われる一方で、全ての人にとって有益ということではないということ、そして、間違った方法で行うことで逆効果になってしまうことがあるからです。

 

そこで今回は、舌磨きについて、その効果とはどのようなものか、また、舌磨きをするメリットやデメリットについてご紹介していきます。

 

1.舌磨きはしたほうがいいの?どんな効果があるの?

 

舌苔というのは、口の中の粘膜細胞が剥がれたもの、食べかす、細菌などによってできた、いわば垢のようなものです。

 

ですが、舌というのは筋肉であり、会話や食事の際などに動き、その際に口の中に擦れることで舌苔も自然に剥がれますし、口の中の唾液によっても自浄作用が行われますので、必ずしもついたらずっと溜まりっぱなしになるというわけではありません。

 

舌苔の溜まり具合というのは、舌の動かし方、唾液の量、体調などによっても変わってきますが、たくさん溜まっているままにしていると、口内細菌環境に影響し、口内や体に対して悪い影響を及ぼす可能性があります。

 

そのような場合に適切な舌磨きをすることによって、口内環境改善や体の健康面においてプラスの効果を期待することができます。

 

2.舌磨きのメリットとは?

 

2.舌磨きのメリットとは?

 

それでは、舌磨きを適切な場合に適切な方法で行なった場合、具体的にどのような良い効果が得られるのか、そのメリットについてみていきましょう。

 

2-1口臭改善

舌苔がたくさん溜まると、口の中の細菌が揮発性硫黄化合物を作り出し、「オナラのような匂い」、「魚の腐った匂い」、「生ゴミの匂い」などと表現されるような悪臭を放つようになります。

 

舌磨きをすることにより、このような物質を機械的に除去できますので、口臭が改善していきます。

 

2-2虫歯や歯周病の予防効果

舌苔がたくさんついている状態だと、お口の中の細菌が多い状態となってしまいます。そのような場合に舌苔を取り除くことにより、虫歯菌や歯周病菌を減らし、リスクを減らす効果が期待できます。

 

2-3インフルエンザなどの感染予防効果

口腔ケアが不十分で口内細菌の量が多い人は、インフルエンザや風邪などのウイルス感染症にかかりやすいという研究結果があります。これは、口内細菌の出す酵素が、ウイルスが口の中に入った際、粘膜細胞に入り込みやすくする手助けをするためと考えられています。

 

舌苔が多い場合、細菌の数も必然的に多くなりますので、舌苔を取り除くことで細菌の数も減り、ウイルス感染のリスクを下げられる効果が期待できます。

 

2-4細菌性肺炎の予防効果

 

健康な人の場合、口の中のものが誤って気道に入ったとしても、反射機能が働くことによって排出されますが、反射機能の衰えた高齢者の場合、口の中の唾液や食べ物が気道の方に行ってもうまく排出されないことがあります。

 

舌苔が増えていると、そこに含まれている細菌が多く肺の方に行ってしまうことになり、細菌性肺炎を起こす可能性があります。

 

細菌性肺炎は、寝たきりの高齢者の死因の上位を占めているほど深刻なものですが、適切な舌磨きをすることにより、リスクを減らせる可能性があります。

 

2-5味覚の正常化

 

舌の表面には味蕾と呼ばれる、味を感知する器官があります。舌苔が厚くつくと、味蕾も覆われてしまい、味覚の低下や異常が起こって食べ物の味を適切に感じることができなくなってしまいます。

 

舌磨きをすることで、味覚を正常に働かせやすくすることができます。

 

2-6口の中がスッキリする

 

舌苔がたくさんついていると、歯磨きをしてもなんとなくスッキリしません。厚くついた舌苔を取り除くことにより、口の中がスッキリとし、気分良く過ごすことができます。

 

3.舌磨きのデメリット

 

舌磨きが必要ないのに行ってしまった場合や、過剰にやりすぎてしまった場合、次のようなデメリットが起こる場合があります。

 

3-1口臭の悪化

正常な舌の場合、舌苔が薄くついているのが通常で、そのような状態の舌苔というのは口臭の原因にはなることはありません。

 

ところが、そのような舌苔を無理やり磨いて取り除いたり、たくさんついている場合でも必要以上にゴシゴシ擦ったりしてしまうと、舌の表面の細胞が剥がれ、逆に舌苔が多く作られてしまうことになり、結果的に口臭がひどくなってしまうことがあります。

 

3-2痛みが出ることがある

舌苔を取り除く場合には、やさしく擦る、というのが基本ですが、ゴシゴシと力を入れて擦ってしまうと、舌の表面が傷つき、舌炎を起こしてヒリヒリと痛みが出ることがあります。

 

3-3味覚低下・異常を起こす可能性がある

舌磨きの際に強く擦ってしまうと、表面に存在する味蕾を傷つけてしまい、味がわかりにくくなったり、味覚の異常を起こしてしまったりする可能性があります。

 

3-4感染症のリスクがある

舌の表面を強く擦って傷つき、血が出た場合、口の中の細菌が血管の中に入り込み、菌血症を起こしてしまうリスクがあるとも言われています。

 

4.舌苔の取り方と注意点

 

4.舌苔の取り方と注意点

 

繰り返しになりますが、健康な状態(うっすらと白い舌苔がある場合)には、舌苔を取る必要はありません。その状態で舌苔を取り除くと、逆効果になる可能性があるので注意しましょう。

 

舌苔が厚めについている場合には、次のような点に注意して行ってみると良いでしょう。

 

4-1舌ブラシを使う

舌苔を落とすためには、専用の舌ブラシを使うのがおすすめです。舌ブラシを使うことで効率よく落とせるのに加え、舌の表面はとてもデリケートなので、そういった意味でも舌ブラシを使うのが安心です。

 

もし舌ブラシが手元になく、歯ブラシでやる場合には、毛のやわらかいものを使うようにしましょう。

 

4-2奥から手前に向かって軽く掻き出すように

舌をベーッと出して、ブラシを奥に入れ、手前に向かって3~4回そっと掻き出すようにブラシを当てましょう。この際ゴシゴシと力を入れてしまうと舌が傷ついてしまう恐れがあるので気をつけてください。

 

4-3一日に一回、朝に行う

特に決まりがあるわけではありませんが、舌はデリケートなので、もし舌磨きをする場合には、一日に一回に留めておきましょう。

 

そしてその場合、口臭予防という観点からも、朝に行うのがおすすめです。夜眠っている間というのは、唾液の分泌量が減り、細菌が増殖します。そのため、誰でも朝起きた時には、一番細菌量が多くなっていて、その分口臭も強くなります。

 

4-4オエッとなりやすい場合

舌の奥に歯ブラシを突っ込むとオエッとなってしまう人は少なくありません。この反射を「嘔吐反射」といいますが、この反射が強く出てしまう人は、なかなか舌磨きが難しい、ということもあるでしょう。そのような方の場合、舌を磨くときに数秒間息を止めてみると反射が起こりにくくなるのでおすすめです。

 

また、ブラシを手前から奥に運ぶと、より嘔吐反射が起きやすくなりますので、あくまで奥から手前へ動かす、ということも大事です。

 

5.まとめ

 

舌磨きは、必要な場合に、正しい方法で行うことではじめてプラスの効果が得られます。ただやみくもにゴシゴシやってしまうと、舌を傷めるばかりでなく味覚障害や口臭の悪化につながることもありますので、十分に注意して行うようにしてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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