口内炎が治らない、長引く原因と対処法
歯茎や舌、お口の粘膜に突如現れる口内炎。口内炎は、少し触れたり喋ったりするだけでも痛く、食べるたびにも痛みますし、ひどい場合には何もしなくても痛みが出るなど、一度できると結構辛いものです。
とはいえ、通常の口内炎ならば、どんなに辛くても、1〜2週間程度もあれば自然治癒します。もしそれ以上口内炎が続き、軽快する気配もないようであれば、何か注意すべき要因がある、もしくは、口内炎ではなく、他の病気を疑った方がいいかもしれません。
今回は、口内炎が長引く原因、そして対処法についてご紹介します。
1.口内炎がなかなか治らないのはなぜ?その原因は?
口内炎がなかなか治らない場合、まずは次に当てはまるものがないか、ということを疑ってみましょう。
1-1口内の持続的な物理的刺激
同じところをいつも噛みやすい、歯が尖っていて粘膜を傷つけやすい、入れ歯や矯正器具が擦れて痛い、といったような物理的刺激が常にある場合には、その部分が傷ついて口内炎を作りやすく、そして治りにくくなります。
1-2免疫力低下
免疫力が低下すると、細菌感染を起こしやすくなりますので、口内炎ができやすく、治りにくくなります。免疫力低下は、糖尿病や血液の病気などの全身疾患の他にも、ストレスや睡眠不足、疲労などによっても起こります。
1-3唾液の減少(ドライマウス)
口呼吸をしていると口の中が乾いてしまうので、粘膜が荒れやすく、しょっちゅう口内炎ができているような状態になりやすくなります。また、ストレスや薬の副作用などによっても唾液分泌の低下が起こり、お口の中に潤いがなくなって、同様のことが起こります。
1-4歯磨き粉に含まれる界面活性剤
歯磨き粉に含まれる泡立ち成分である界面活性剤が刺激となり、口内炎がなかなか治りづらくなることもあります。
1-5お口の清掃状態が良くない
口内炎は、お口の中に傷ができたところが細菌感染することで起こりますが、お口の衛生状態が良くないと、感染した状態が長引いてしまいます。
2.口内炎が治らない、長引く場合に考えられる病気は何?
口内炎がなかなか治らないという場合、なんらかの病気が影響している可能性、そして、口内炎ではなく違う病気の疑いも出てきます。考えられるものとして、次のような病気が挙げられます。
2-1フィステル(膿の排出孔)
これは口内炎ではなく、よく見た目が口内炎と間違えられやすいものです。フィステルは、歯根周囲に溜まった膿が歯茎の方に出口を開口している状態で、ニキビのようにも見えます。膿が溜まっては潰れて、ということを繰り返しますが、一旦できると自然になくなることはありません。治すためには根の治療などの歯科治療が必要になります。
2-2口腔がん
口内炎がいつまでたっても軽快の兆候が見られず、大きくなったりする場合、口腔がんの可能性も出てきます。2週間以上たっても口内炎が治る気配も見せない場合には放置せず、一度、歯科医師の診察を受けるようにしてください。
2-3金属アレルギー
口の中に銀歯や入れ歯などの金属が入っており、その金属に触れたり、金属イオンが溶け出して影響を受けたりする部分にただれや潰瘍といったアレルギー症状を起こすことがあります。
2-4白板症(はくばんしょう)
歯茎、舌の側面、頬の内側の粘膜といった口の中の粘膜に現れる、擦っても除去できない白斑状の病変です。明らかな原因は不明ですが、詰め物や入れ歯などの慢性的な刺激、喫煙や飲酒などによる化学的な刺激、栄養不足、加齢との関連が疑われています。
2-5慢性再発性アフタ
一個、もしくは複数の口内炎が周期的に再発を繰り返す病気で、はっきりした原因はわかっていません。数週間や数カ月の間隔で再発を繰り返す場合には慢性再発性アフタが疑われることがあります。多発することもあります。
2-6全身疾患
全身疾患の一症状として口内炎ができる場合があります。例えば、自己免疫疾患であるベーチェット病、シェーグレン症候群、天疱瘡、バセドウ病、関節リウマチなどにおいて口内炎が起こり、その病気がある限り口内炎もでき続けてしまいます。
また、ウイルス感染や細菌・真菌感染でも起こることがあります。例えば、ウイルス性口内炎、ヘルパンギーナ、手足口病、カンジダ症、エイズ、性感染症においても起こり、症状が続きます。
3.口内炎と他の病気との見分け方
口内炎と他の病気を見分ける大体の目安をご紹介します。ですが、中には判断が難しいものもありますので、決して自己診断はせず、症状が長引く場合には、できるだけ早くそれが口内炎なのか、そうでないのか、という診断を専門家につけてもらうことが大事です。
3-1治るまでの期間
通常の口内炎は、大体10日前後(1〜2週間)で治ります。一方、単なる口内炎でない場合には、症状が変化せずに長引く、悪化する、もしくは、次々に新しい口内炎ができてくる、ということが起こりますので、そのような場合には注意が必要です。
3-2見た目
一般的な口内炎は、周囲が赤く腫れた状態の真ん中に数ミリ程度の小さな白い円形や楕円形の窪んだ潰瘍ができます。周囲との境界がはっきりしているのが特徴的です。
一方、それに対して、たとえば口腔がんの場合は、口内炎のように境界がはっきりとはしておらず、境界が不明瞭でいびつな形をしています。
フィステルの場合には膨らんだりしぼんだりするので、これもよく見れば口内炎と区別がつきやすいでしょう。白板症は円形ではなく、広い範囲で膜が張ったような状態なのでこちらも違いが分かりやすいと思います。
3-3痛み
口内炎は、どんなに小さくてもちょっと触れただけでも、口を動かしただけでも、鋭い痛みを感じます。それに対して、口腔がんの場合には、見た目のひどさの割に痛みを感じないのが特徴的です。白板症もフィステルも、あまり痛みを感じることはありません。
3-4しこり
典型的な口内炎は白い円形の潰瘍部分の周囲が赤く盛り上がったようになっていますが周囲にしこりはありません。一方、口内炎と最も間違われやすい口腔がんの場合は口内炎のように見える部分の周囲に硬いしこりができるのが特徴的です。
3-5他の部位の症状
純粋な単発性の口内炎の場合、口の中だけに症状が現れますが、全身疾患の一症状として現れる場合には、必ず口以外の他の部分にもなんらかの症状が現れます。初期症状として口内炎が最初のうちに現れるということも多いですが、もし全身的な病気が関わっているならば、それに続いて次々と別な症状が起こってきますので、異変を感じたら早めに医師の診断を受けることが大事です。
4.まとめ
口内炎は誰でも生きているうちに何度か経験するような、特に珍しくもない症状ですので、特に口内炎がよくできる人にとっては慣れっこで、多少長引いても気にならないかもしれません。
大抵の口内炎は自然に治りますし、過剰に心配する必要はありませんが、今回ご紹介したように、2週間以上経っても変化が見られない、もしくは次々にできて改善が見られないような場合には、なんらかの問題が隠れている、もしくは他の病気の関連を疑わざるを得ない場合も出てきます。
中には口内炎だと決めつけてずっと放置した挙句、口腔がんが進行してしまい取り返しのつかなくなったというようなケースもありますので、「たかが口内炎」と決めつけず、治りが悪い時には一度専門家の診断を仰ぐようにしてください。
この記事の監修者
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