親知らず抜歯後の痛みや腫れはどれくらい続くの?

親知らず抜歯後の痛みや腫れはどれくらい続くの?
「親知らず抜歯後に大変な思いをした」という体験談を聞いたことがあり、不安を感じている方も多いかもしれません。

親知らずの抜歯を検討している人にとって、親知らず抜歯後の痛みや腫れがどのくらい続くか、というのは、とても気になるところですね。

今回は、親知らず抜歯後の痛みや腫れに対し、できるだけ症状を起こさないためにできること、避けた方が良いこと、また痛みが我慢できない場合にどのような対処法があるのか、ということについてご紹介していきます。

 

1.親知らず抜歯後の痛みや腫れはどれくらい続く?

 

1-1抜歯後の痛みや腫れは数日中に落ち着くのが大半

 

親知らず抜歯後の痛みや腫れというものは、通常は麻酔が切れてから多かれ少なかれ起こるもので、一般的には抜歯後数日中、遅くとも1週間くらいで落ち着いてきます。抜歯を行う際には、このような症状が出るのを見越して、あらかじめ鎮痛剤や抗生剤のお薬を出しますので、それを服用することにより、さほど問題なく過ごせることがほとんどです。

 

1-2ほとんど症状が出ない場合も

 

「親知らずの抜歯=痛い、腫れる」というイメージがありますが、ほとんどそういった症状を感じないケースというのも中にはあります。

人によっては「痛み止めを一度も飲まずに済んだ」ということもあるほどで、症状の感じ方には個人差も大いに関係していると考えられます。

 

1-3場所や生え方によって痛みや腫れの出方が変わる

 

親知らず抜歯後の痛みや腫れの出方の程度というのは、親知らずの場所や生え方によっても違ってきます。

たとえば、上の親知らずの場合だとすぐに抜けるケースが多く、術後の痛みは出たとしても痛み止めを一度飲むだけでほとんど感じずにおさまってしまうことも珍しくありません。また、腫れもあまり出ないことが多いようです。

一方、下の親知らずの場合、埋もれていたり、倒れていたり、歯根の形のせいで抜きにくかったり、といったことが多く、必然的に抜歯が大変になってしまうことで痛みや腫れが強く出やすい傾向があります。

 

1-4ドライソケットを起こすと痛みが長期化することも

 

親知らずの抜歯後には、頻度は多くありませんが、「ドライソケット」と呼ばれる、抜歯後の治癒不全が起こることがあります。

これは、抜歯をした後の穴に、治癒を起こすための血が十分に溜まらないことで骨が露出し、細菌感染を起こし、痛みが長期化してしまう状態です。

ドライソケットは主に下の親知らずを抜く際に数%の頻度で起こるとされており、抜歯が困難で抜歯に時間がかかった場合に起こりやすくなります。

 

2.親知らず抜歯後の痛みや腫れをなるべく起こさないために

2.親知らず抜歯後の痛みや腫れをなるべく起こさないために

 

親知らず抜歯というのは、傷口ができる処置ですので、抜いた後の痛みや腫れというのを全く避けるというのは、不可能です。ですが、なるべく抜歯後に痛みや腫れの症状を出さないためにできることはあります。ぜひ実践してみてください。

 

2-1お口の清潔を保つ

 

抜いた後の傷口を速やかに回復させるためには、細菌感染を起こさないようにすることが大事です。そのためには、抜歯前、抜歯後にお口の清潔をしっかりと保っておくことが必要不可欠です。

 

2-2麻酔が切れる前に痛み止めを服用しておく

 

親知らずを抜く際には局所麻酔を行いますが、麻酔をしてから大体2、3時間後に効果が切れて痛みが出てきますので、抜歯後にまだ麻酔が効いているうちに痛み止めを服用しておくことをおすすめします。

こうしておくことで、一度も痛みを感じずに済んだ、という方も少なくありません。

 

2-3処方された抗生剤はしっかりと服用する

 

抜歯後の傷口の細菌感染は、さらなる痛みや腫れの原因となります。お口の中というのは、細菌がたくさん存在していますので、油断すると細菌感染を起こしかねません。処方された抗生剤を決められた通りに服用することで、細菌感染を予防し、速やかに治癒を進めていくことにつながります。

 

2-4なるべくうがいをしない

 

抜歯後には抜いた穴からしばらく出血します。特に抜いた当日は血がにじみますので、血の味が気になってしまうものですが、うがいをたびたび行ってしまうと、抜いた穴に血が溜まらなくなり、ドライソケットを引き起こす原因となります。

また、一度血が溜まって固まってきたとしても、うがいによって血の塊(血餅)が剥がれてしまうことがありますので、抜歯をした2、3日は、うがいは必要最小限にとどめるようにしましょう。

出血が気になってしまう場合には、うがいをしても止まりませんので、清潔なガーゼを噛んで圧迫して止めるようにしてください。どうしても止まらず出血が多い場合には、歯科医院に連絡しましょう。

 

2-5血流が良くなりすぎることをしない

 

抜歯後に血流が良くなりすぎるようなこと、たとえば、激しい運動、飲酒、湯船に浸かる、といったことを行うと、抜歯をした部分が腫れる原因となりますので、控えるようにしましょう。

 

2-6タバコを吸わない

 

タバコを吸うと、歯茎の血行が悪くなり、傷口の治癒が遅くなり、治癒不全のリスクが高まります。そのため、抜歯後の喫煙は避けるようにしましょう。

 

2-7食事に気をつける

 

抜歯後はしばらく、抜いた側で噛むことは控えましょう。抜いた後数日は、硬い物、スパイスの効いたもの、熱いものなどは控えるようにしましょう。

 

2-8安静を心がける

 

傷口を早く治癒させるためには、免疫力を下げないことも大事です。そのためには、できるだけ無理をせずに休養し、睡眠を十分にとるといったことも心がけましょう。

 

3.痛みを我慢できないときの対処法

3.痛みを我慢できないときの対処法

 

もらった痛み止めを飲んでいるのに、痛み止めが十分に効いておらず辛い、というような場合には、次のような対処法を試してみましょう。

 

3-1患部を冷やす

 

抜いた後の痛みが強い時というのは、強い炎症が起こって血管が拡張しているためです。そんな時は、患部を冷やすことで痛みが和らぐ可能性があります。

保冷剤をタオルに巻いて患部に当てることで、血管が収縮し、痛みを緩和させることができます。ただし、抜歯後24時間以降は、逆に患部を温める方が早く痛みを緩和させることができますので、経過を見ながら対処を変えていくと良いでしょう。

 

3-2歯科医院に連絡をする

 

痛みが強く、痛み止めが効かない、もしくは痛み止めがなくなってしまった、というような場合には、歯科医院に連絡をしましょう。

状況に応じて痛み止めの追加、増量、もしくは痛み止めの種類の変更といった対処が受けられ、それで問題が解決する可能性があります。

あまりに痛みが強い場合には、ドライソケットが起こっている可能性があります。その場合には、再び麻酔をし、ドライソケットに対する処置が必要となります。

 

3-3歯の痛みに効くツボを押す

 

手の甲にある「合谷(ごうこく)」と呼ばれるツボを押すのも効果的です。
場所は、親指と人差し指の間から3センチほど手首方向にいった、押すと痛みを感じる所です。

 

4.まとめ

 

痛みや腫れが続いてしまうと、「ずっと治らなかったらどうしよう」と不安になってしまうかもしれません。ですが、このような症状は、抜歯後の一時的な反応ですので、通常通りの対処をしていただければ、時間の経過に伴い必ず治っていきますので、心配はいりません

今回ご紹介した注意事項や対処法を実践していただくことで、親知らず抜歯後の症状をなるべく最小限にできると思いますので、親知らず抜歯予定のある方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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