白い歯で保険適用の治療はあるの?
ですが、現在では、数年前には銀歯しか選べなかったようなケースでも、保険で白い歯で治療ができるようになってきています。
今回は、保険適用でできる白い歯についてご紹介していきます。
1.保険でできる白い歯ってどんなもの?
少し前までの保険制度では、保険治療で白い材料が使えるのは、前歯、もしくは奥歯の比較的小さめの虫歯に限られており、ある程度大きめの虫歯になると、強度的な理由から金属を用いることが保険によって決められていました。
ですが、現在では、歯科技術の発達に伴い、白い材料でもある程度強度に優れたものが開発され、保険でも白い材料が認められる範囲が広がってきました。
「自費のセラミックは予算的に厳しい」、という方でも、保険適用の白い歯でお口の印象を大きく変えることができます。
ちなみに、自費治療の場合、白い歯の選択肢としては、セラミックやハイブリッドセラミックが挙げられますが、保険の場合、次のような選択肢があります。
1-1従来から保険適用だった白い歯
従来より保険適用だった白い歯もあります。それは次のようなものです。
◆コンポジットレジン(歯科用プラスチック)
前歯の虫歯や、奥歯の範囲の狭い虫歯の治療によく用いられている白い詰め物です。削った後に詰めて、特殊な光を当てることで硬くなりますので、その日のうちに治療が終わります。
範囲の広い、大きな虫歯の場合には割れてしまいやすいため、適していません。
◆硬質レジン前装冠
金属のフレームの前面に白いプラスチックの材料を盛り足し、金属が見えないようにしてある被せ物です。保険の前歯の(犬歯まで)被せ物として一般的に選択されます。デメリットとしては、プラスチック部分が年月とともに黄ばんでくること、金属アレルギーのリスクがあること、歯茎が黒ずみやすいことなどが挙げられます。
◆硬質レジンジャケット冠(HJK)
硬質レジン(歯科用プラスチック)で作られた白い被せ物で、金属を使用していないものです。前から5番目の歯まで保険適用が認められています。金属の裏打ちがなく、強度に劣るため、割れてしまいやすい、年数とともに黄ばんでくる、といったデメリットがあるため、それほど一般的ではありません。
1-2 2014年より保険で治療が可能になった白い歯
2014年から保険適用になった白い歯として、CAD/CAM冠(きゃどきゃむかん)があります。法改正により、適用となる範囲が広がってきており、多くの場合にCAD/CAMでの治療が可能になってきています。
◆CAD/CAM冠・インレー
CAD/CAM冠・インレーとは、コンピュータによって設計・製造される被せ物・詰め物のことで、2-14年に前から4番目、5番目の小臼歯への被せ物の適用が開始されて以来、だんだんと適用範囲が広がってきており、現在では、大臼歯への使用も可能となってきています。
使用される素材は、セラミックとプラスチックを配合した「ハイブリッドレジン」というもので、プラスチックを主体にセラミックの粒子を混ぜ込んだものです。
セラミックが入っていることにより、従来のプラスチックだけの詰め物や、硬質レジンジャケット冠の弱点が改善されています。
2.白い歯(CAD/CAM)が保険適用される条件と費用
CAD/CAM冠は、2014年より小臼歯(前から4、5番目の歯)への保険適用が可能となり、その後、2017年末から下の第一大臼歯(前から6番目)、そして2020年の4月からは上の第一大臼歯(前から6番目)に対しても、条件が揃っていれば保険の適用が可能になりました。
またさらに、2022年の4月からは、小臼歯と第一大臼歯に対し、CAD/CAMインレー(部分的な詰め物)が適用となりました。
2-1 CAD/CAMを保険適用する場合の条件
CAD/CAMは、第一大臼歯まで保険適用で入れることが可能です。その場合の適応症としては、次のようなことが挙げられます。
◆第一大臼歯に入れる場合、第二大臼歯(前から7番目の歯)が上下左右すべて揃っていて、しっかり噛み合っており、過剰な力がかかっていないこと
◆歯の高さが十分にあり、被せ物、詰め物の厚みや形を十分に確保できるくらい、歯を削れること
※金属アレルギーがある場合には、例外的に全ての大臼歯において、CAD/CAMを入れることが可能です。
2-2 CAD/CAMを保険適用する場合の費用
詰め物や、被せ物の費用には、材料費だけでなく、歯を削ったり、型取りをしたりといった技術料もかかってきます。保険治療の場合、3割の自己負担というのが一般的ですが、その場合、詰め物(インレー)のケースでは、小臼歯が3000円弱程度、大臼歯が3000円ちょっと、被せ物(クラウン)の場合には、前歯が5000円ちょっと、小臼歯が4300円程度、大臼歯が5000円弱くらいとなります。
実際はこれに再診療や管理料などが含まれてきますので、もう少し金額はプラスされることになります。
自費のセラミックの場合には、通常数万円~十数万くらいかかりますので、それと比較するとかなり安く抑えられることがわかります。
3.CAD/CAM冠・インレーのメリット・デメリット
3-1メリット
◆見た目が歯の色に近い
CAD/CAMで使用するハイブリッドレジンは、歯と類似した色調にすることができますので、銀歯と比べて見た目が自然です。
◆金属アレルギーのリスクがない
金属を一切使用しませんので、金属アレルギーのリスクがある人でも安心です。
◆治療費を抑えられる
保険適用が可能ですので、セラミックを入れる場合と比較して治療費をかなり抑えることができます。
◆天然歯の硬さに近い
CAD/CAMに用いる材料は、銀歯と比較して歯の硬さに近いので、噛み合わせの歯にダメージを与えません。
◆治療期間が短い
詰め物や被せ物は手作業でなく、機械でハイブリッドレジンのブロックを削り出す形で自動的に作られますので、製作期間が短いため、削った後早く人工物を入れることができます。
3-2デメリット
◆年月が経つと変色する
プラスチックが主な素材となっているため、傷がつきやすく、年月が経つにつれ黄ばんだり、くすんできたりする可能性があります。
◆強い力がかかると割れるリスクがある
第二大臼歯(前から7番目の歯)では推奨されていないように、強い力がかかる場合には割れるリスクがあるため、歯ぎしりや食いしばりのある人にはすすめられないこともあります。
◆削る量が多くなる
金属と比べて強度に劣りますので、厚みを持たせるために歯を削る量が多めになります。
◆プラークがつきやすい
摩耗しやすく、プラスチック素材が傷つきやすいため、表面にプラークがつきやすく、歯肉炎や虫歯の再発のリスクがあります。
3-3デメリットが気になる場合にはセラミックがおすすめ
以上でご紹介したように、保険の白い材料は、プラスチックを主体とした素材となります。プラスチックは食器やタッパーなどを例に取ってもわかるように、表面に傷がつきやすい性質があることから、変色のリスクや汚れがつきやすい、また強度的に劣るというデメリットがあります。
そのため、このようなデメリットが気になる方は、やはりセラミックを選ぶのが良いでしょう。セラミックは、審美的にも強度的にも、歯の健康を守るという点においても、やはり値段が高いだけあってそのクオリティには大きな違いがあります。
4.まとめ
今回は、保険で可能な白い材料についてご紹介しました。安価で歯の色調に近い材料で治療をできるようになってきたことは朗報ではありますが、いつまでも美しさが持続するという点や、長持ちするという点においては、やはり自費の白いセラミックと比べると大きな違いがあることは否めません。
治療法を選択する場合には、そういったことも踏まえた上で慎重に決められることをおすすめします。
この記事の監修者
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