子どもの歯がグラグラしてきたら、自分で抜いてもいいの?抜くタイミングは?
グラグラしてすぐに抜けてくれればいいのですが、多くの場合はグラグラし始めてから抜けるまでにある程度の期間がかかります。そんな場合に自分で抜いてしまっても問題ないのか、気になっている親御さんもいるのではないでしょうか。
今回は乳歯から永久歯への生え替わりに関して、多くの方から寄せられる「自分で抜いても大丈夫なのか?」などといった疑問点に対し、くわしくお答えしていきます。
1.乳歯が抜ける時期はいつ頃?
乳歯を自分で抜いても良いのかを判断するには、まず乳歯の生え替わり時期を知っておく必要があります。
乳歯は真ん中から奥に向かって順番にA,B,C,D,Eという名前がつけられています。乳歯の生え変わりは、まず一番前の前歯から起こり、大体前から順に奥の臼歯にかけて起こってきます(途中の順番が入れ替わる場合もあります)。
乳歯がグラグラしてくる年齢というのは、多少の個人差はありますが、大体歯の種類によって決まっています。生え変わりの年齢の正常範囲は大体以下の通りですので、ある程度目安を知っておくとよいでしょう。
B (前から2番目の歯); 6〜9歳頃
C (前から3番目の歯); 9〜12歳頃
D (前から4番目の歯); 9〜11歳頃
E (前から5番目の歯); 10〜12歳頃
この年齢を過ぎてもなかなか生え変わりが起こらない場合には、念のために一度歯科医に相談してみることをおすすめします。
2.乳歯がなかなか抜けてこない原因
乳歯が自然に抜けていくのは当たり前のこと、と思われがちですが、実際なかなか抜けてこない場合、というのもあります。乳歯がなかなか抜けない場合、次のようなことが原因になっている可能性があります。
2-1 永久歯の位置がずれている
通常は、乳歯の奥の骨に永久歯が控えており、永久歯がだんだんと歯茎に近づいてくるにつれて、乳歯の根っこが吸収されていきます。その後、乳歯の根っこが短くなったら乳歯は支えを失い、抜けてきますが、永久歯が埋まっている位置がずれていると、乳歯の根っこの吸収が順調に起こらず、乳歯が抜けてきません。
2-2 永久歯が欠損している
10人に1人くらいの割合で、永久歯が元々備わっていない「先天欠如」のケースがあります。先天欠如歯が多いのは、下の前から2番目の側切歯と、前から5番目の第二大臼歯です。このような場合にも、乳歯の根っこが吸収されないため、乳歯が抜けてきません。
この場合、いずれ自然と根っこは吸収し、30代くらいまでに抜けることが多いですが、それまでは乳歯を大切に使っていく必要があります。その後はブリッジやインプラントなどで歯を補う治療を行います。
2-3 永久歯が深い位置に埋伏している
まれに、永久歯が深い位置に埋伏していて、出てこない場合があります。そのような場合にも、乳歯の根っこが吸収されませんので、乳歯は抜けてきません。
3.なかなか乳歯が抜けない場合、どんな影響がある?
3-1 歯並びが悪くなる可能性がある
乳歯と永久歯は大きさが違います。もし乳歯が抜けないままの状態が続くと、他の歯とのバランスが悪くなってしまい、将来的に歯並びや噛み合わせが悪くなってしまうリスクがあります。
また、永久歯の埋まっている位置が乳歯と少しずれていて、乳歯の根っこが順調に吸収されずになかなか抜けてこない場合、永久歯はそのままずれた状態で生えてきてしまうので、歯並びがガタガタになってしまう可能性があります。
3-2 永久歯に虫歯ができる恐れがある
乳歯の下から永久歯が顔を出して生きているのになかなか抜けない場合、乳歯が邪魔になって永久歯をしっかりと磨くことができないので、永久歯に虫歯ができてしまうリスクがあります。
4.乳歯を自分で抜いても大丈夫?
乳歯は全部で20本ありますので、乳歯がグラグラしてくるたびに歯医者に行くのも大変です。そこで、乳歯を自分で抜いても大丈夫な条件を知っておくと良いでしょう。また、同時に自分で乳歯を抜くリスク、自分で乳歯を抜く方法についても確認しておきましょう。
3-1 乳歯を抜いても大丈夫な条件
乳歯を抜いても大丈夫な条件として、次のようなことが挙げられます。
◆生えかわる適齢にきていること
乳歯がぐらついてきて、その歯が生えかわる適齢に達している場合には、そろそろ抜き時だと考えて良いでしょう。
◆かなりグラグラしている、できればぶらぶらしている状態である
乳歯というのは、グラつき始めてからすぐに抜けるわけではありません。お子さんによっては少しでもグラつくと気になってしまう場合もありますが、通常は時とともにだんだんとグラつきが増してきますので、グラグラの度合いが強くなってぶらぶらしているくらいになったら抜いても大丈夫と考えて良いでしょう。
3-2 自分で乳歯を抜くリスク
自分で乳歯を抜く場合、そのリスクは考えておく必要があります。主なリスクとしては、次のようなものが挙げられます。
◆歯茎が裂けてしまう
あまりグラグラが十分でない時に無理矢理抜いてしまうと、歯茎が裂けてしまうことがあります。
◆根っこが折れてしまう
これは、奥歯の場合のリスクですが、複数ある根っこの一部が十分に吸収していないのに力ずくで抜いてしまうと、根っこが折れてしまうこともあります。
◆痛みがトラウマになってしまう
痛みを感じる間もなくすぐに抜ける場合だと良いのですが、なかなか抜けなかったりすると、お子さんが痛みに敏感になってしまうので、痛みがトラウマになってしまうリスクがあります。
◆雑菌が入るリスク
清潔にしていない状態で抜いたり、抜いた部分を指などで触ったりすることで、傷口に雑菌が入るリスクがあります。
3-3 自分で乳歯を抜く方法
自分で抜きたい場合、グラグラからぶらぶらになるまでじっくりと待つことが大事です。無理矢理急いで抜こうとしても、時期を間違えると辛い思いをするだけなので、それはおすすめしません。通常は、舌や指などでいじっているうちにだんだんとグラグラの度合いが大きくなっていきますので、ぶらぶらになる頃を見計らって抜くと良いでしょう。
4.こんな場合は歯科医に診てもらいましょう
自分で抜くのに不安がある場合には、歯科で抜いてもらうのが安心です。また、次のような場合には、歯科医に診てもらうことが大事です。
4-1 抜けずに辛い状態が続いている
グラグラな状態になっても一向に抜けず、食事が摂りにくいことなどでお子さんが苦痛を感じている場合には、歯科で抜いてもらうことをおすすめします。
4-2 永久歯がすでに見えている
乳歯がグラグラしていないのに永久歯が出てきた場合にも早めに歯科で抜くことをおすすめします。
4-3 反対側の同種の歯が抜けたのになかなか抜けない
歯は左右に同じ種類の歯があり、通常は大体同時期に生え替わります。もし、片方が生え替わってしばらく経つのにもう片方が生え替わりそうにない場合、一度歯科で状況を確認してもらいましょう。
4-4乳歯が抜けてから永久歯が生えてこない
乳歯が抜けた後になかなか永久歯が出てこない場合、歯科で永久歯の状況をレントゲンなどで確認することをおすすめします。
4-5 乳歯がボロボロで抜けにくい
虫歯でボロボロになっている歯は、歯が一塊できれいに抜けてこないことがあります。かけらが残ってしまうと炎症を起こしたりする原因になりますので、そのような場合にも歯科で確認してもらいましょう。
5.まとめ
乳歯は、大抵の場合には自然に抜け落ちますが、なかには永久歯の位置がずれていたり、永久歯がないことなどにより生え替わりがうまく起こらず、それが原因で歯並びや噛み合わせに影響が起こる場合もあります。
そのため、何か異常を感じたら早めに歯科を受診することをおすすめします。もし可能なら、お子さんのうちは、お口の環境が刻々と変化しますので、異常がなくても、定期的に歯科を受診し、管理してもらっておくと安心です。
この記事の監修者
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