中学生・高校生から矯正治療をするのは遅い?メリットはあるの?

中学生・高校生から矯正治療をするのは遅い?メリットはあるの?
中学生・高校生になったお子さんが歯並びを気にし始め、自分から「矯正治療をしたい」と言い出した、というご家庭もあるのではないでしょうか。

ですが、インターネットなどで、「矯正治療は小さな頃から始めた方がいい」「中学生以上になると歯に目立つワイヤーをつけなければならない」などと書いてあるのを見て、もう遅いのでは、と思ってしまっている親御さんもいるかもしれません。

でも、あきらめるのはまだ早いです!中学生以上になっても目立たない矯正方法はありますし、大人になってから始めるよりも、中高生から始める矯正治療にはいろいろとメリットがあるのです。

今回は、中高生から始める矯正治療について、メリットや治療方法、治療にかかる費用や期間などについてわかりやすくご紹介します。

 

1.中学生・高校生の一般的な歯の状態とは

 

小学生のうちは、乳歯と永久歯がお口の中に混在しており、あごの骨の成長も活発です。そのため、この時期の矯正治療では、あごの骨の成長をコントロールしながら永久歯の歯並びを整えていくという治療を行います。一方で、中学生・高校生の一般的な歯の状態はどのような状態か、矯正治療における特徴、メリット・デメリットはどのようなものか、見てみましょう。

 

1-1 中学生の一般的な歯の状態

 

12〜13歳くらいになると、そろそろ乳歯が全て抜けて、永久歯への生え変わりが完了してきます。また、12歳臼歯(第二大臼歯)も生え、永久歯の歯並びができ上がってきます。

 

<中学生で矯正するメリット>

見た目には大人と同様の歯並びになりますので、矯正治療をする場合、大人と同じ装置で行います。ですが、実はまだ骨の成長は続いており、骨の状態もやわらかいので、歯の移動がよりスムーズで治療期間を短くできる、また、抜歯を避けて治療できる可能性も高くなります

 

<中学生で矯正するデメリット>

ワイヤー矯正の場合、歯にブラケット・ワイヤーの装置が固定されますので、小学生で使用する矯正装置と比べて、まずは食事が不便、虫歯や歯周病のリスクが高まるといったデメリットがあります。また、部活動によっては、例えば格闘技などの激しいスポーツ、管楽器を演奏する場合、装置で口の中が傷ついてしまうことがあります。

ですが、歯並びによっては透明なマウスピースを使った矯正が可能で、この治療方法であればそのようなリスクはなくなります。ただし、この場合、自分でマウスピース装置をつける時間をコントロールする必要があります。

 

1-2 高校生の一般的な歯の状態

 

大体16歳くらいで、あごの骨の成長もほぼ終了します。治療内容としては大人と同様のことを行います。この時期になると、歯並びを悪くする可能性のある親知らず抜歯についても検討が必要になってきます。

 

<高校生で矯正するメリット>

あごの骨はまだやわらかいので、大人よりも歯の移動はスムーズで、治療期間を短くすることが可能です。この時期に治療を始めるお子さんは、ご自分の意思で矯正治療を始める場合が多いので、矯正治療のモチベーションが高く、装置をつけていても清掃をしっかりと行うことができるのもメリットです。また、透明なマウスピース装置で治療を行う場合でも、ご自分で管理がしっかりとできるようになってきます。

 

<高校生で矯正するデメリット>

ワイヤー矯正の場合、装置が目立つ、食事が不便、虫歯や歯周病のリスクが高まる、といったデメリットがあります。また、高校生の後半の時期になってから開始する場合、進学や就職などに伴う引越しにより、転医の必要性が出てくることもあります。

 

2.中学生・高校生の歯並びが悪いことで起こるリスク

 

2.中学生・高校生の歯並びが悪いことで起こるリスク

 

中学生、高校生の歯並びが悪いのを放置していると、次のようなことが起こるリスクがありますが、矯正治療をすることでこのようなリスクを避けることができます。

 

2-1 虫歯や歯周病にかかりやすくなる

 

特に歯並びが重なっているような場合、歯磨きしてもきちんと磨けないところが出てくるので、将来的に虫歯や歯周病に悩まされる可能性が高くなります

 

2-2 見た目が悪くなる

 

歯並びの見た目に加え、骨格が歪んでしまうことにより、見た目が悪くなってコンプレックスを抱えてしまう可能性があります。

 

2-3 健康への影響

 

歯並びが悪い影響できちんと噛めず、消化器に負担がかかる可能性があります。また、噛み合わせのバランスが悪いと、体全体の筋肉バランスが悪くなったり、自律神経失調症になりやすくなったりすることで様々な体の不調を感じやすくなります。

 

2-4 口臭のリスク

 

磨き残しが多くなることや、歯周病・虫歯にかかりやすくなることで、口臭が強くなる可能性もあります。

 

2-5 発音・滑舌が悪くなる

 

歯並び、噛み合わせによっては、発音や滑舌に影響が出ることもあり、コミュニケーションや語学習得に支障をきたす、将来、話す職業につきにくいといった影響が及ぶ可能性があります。

 

3.中高生で歯の矯正を開始するのは遅い?

 

矯正治療を始める適正なタイミングというのは、人によっても異なります。中には、反対の噛み合わせ、歯並びがクロスしている噛み合わせ、骨格的な異常が大きな噛み合わせなど、できるだけ早めの時期に治療を開始した方が良いケースもありますが、中高生から始めても問題ないケースというのも多くあります。また、いずれにしても、大人になってからやるよりは、できるだけ若いうち治療を始めた方が、抜歯を避けられたり、治療期間を短くしたり、虫歯や歯周病のリスクを下げることができたりなど、多くのメリットがあるのも事実です。

 

さらに、ワイヤー矯正の場合だと、歯の表に装置をつける場合にはある程度目立ってしまうということがありますが、歯の裏側に装置をつける「裏側矯正」、透明なマウスピースで行うマウスピース矯正なら、多感な時期でも見た目を気にせず治療を行うことができます

 

4.中学生・高校生の矯正治療の費用の目安と期間

 

4.中学生・高校生の矯正治療の費用の目安と期間

 

中学生・高校生で行う矯正治療は、通常、大人が行う成人矯正と同じものになります。成人矯正の選択肢としては、一般的に、ワイヤー矯正(表側矯正、裏側矯正)、マウスピース矯正があります。どのような治療法を選ぶか、また、歯並びや噛み合わせの状態などによっても治療費用や治療期間というのは幅がありますが、歯並びを全体的に矯正する場合のおおよその目安としては次のようになります。

◆表側矯正
治療費・・60万円〜120万円
治療期間・・1〜3年程度

◆裏側矯正
治療費・・100万円〜150万円
治療期間・・2〜3年程度

◆マウスピース矯正
治療費・・60万円〜100万円
治療期間・・1〜3年程度

 

治療費用や期間は個々の症例、歯科医院によって異なりますので、詳しくは歯科医院に確認してみましょう。

 

5.まとめ

 

矯正治療は、一般的に「できるだけ早めに始めた方がいい」とは言われることが多いですが、必ずしも全てのケースにおいてそれが当てはまるわけではなく、中高生から始めるのがベスト、という場合もあります。

 

また、早めに始めた方が良いケースだとしても、中学生・高校生になった時点で治療を開始するのが遅すぎる、ということはなく、成長しきった大人の段階から始めるよりは断然メリットはあると言えるでしょう。

 

矯正治療は大人になってからでも、何歳からでも治療は可能です。ですが、まだ成長過程にある段階、骨がやわらかい段階で矯正治療が始められれば、それだけより多くのメリットを享受できるので、中高生のお子さんが矯正治療に興味をお持ちであれば、一度矯正歯科に相談されることをおすすめします。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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