親知らずが生えない人の割合・確率はどのぐらいあるの?生えない人の特徴は?

親知らずが生えない人の割合・確率はどのぐらいあるの?生えない人の特徴は?
親知らずは、痛みや腫れなど、色々なトラブルを起こしがちで、実際に噛む時に役に立っていないことが多いことから、抜歯されることの多い歯です。特に現代では、食生活の変化などによって顎の骨格が小さくなってきていることにより、親知らずがきれいに生えない、もしくは全く生えてこない人が増えてきている傾向にあります。

 

今回は、親知らずが生えない人の割合とは全体のどのくらいなのか、また、生えない人にはどのような特徴があるのか、についてご紹介していきます。

 

1.日本人で、親知らずが生えない確率はどのぐらいか?

 

親知らずが生えてくるのは、10代後半くらいからが一般的で、20代前半くらいまでに生えてくる人が多いですが、中には30代以降になってから生え始める人もいます。ところが、一方で、「親知らずが生えてこない」という人も少なくありません。

 

1-1親知らずが生えてこない人は4人に1人

 

現在のところ、親知らずが生えてこない割合や確率を調べた公的な研究、統計データというのはなく、正確なデータというのはわかりませんが、親知らずが生えてこない人というのは、4人に1人程度だと言われており、決して珍しくありません。おそらく、皆さんの周りにも親知らずが生えていない、という人がいるのではないでしょうか。

 

ですが、「自分は親知らずが生えてこない」と思っていても、まれに、40代、50代で親知らずが生えてくることもあります

 

1-2親知らずがきれいに生える人は3割程度

 

逆に、親知らずが問題なく、まっすぐきれいに生えてくる人は全体の3割くらいと言われています。つまり、ほとんどの場合は横向きに生えているなど、まともに生えず、親知らずを抜歯しなければならなくなるということです。ちなみに、この割合はだんだんと減ってきており、60年以上前くらいには、半分以上の人の親知らずがきれいに生えていたという話もあります。

 

1-3親知らずが元々ない人も増えている

 

「親知らずが生えない」、という場合、2種類のケースがあります。

 

1-3-1親知らずが埋伏しているケース

 

一つは、親知らずは実際にあるものの、顎の骨に埋まったままであったり、横向きに倒れていて歯茎に隠れていたりして、表から見えない、つまり埋伏してしまっているケースです。

 

1-3-2親知らずが存在しないケース

 

もう一つは、親知らずの歯がそもそも存在しないケースです。太古の昔においては、親知らずは他の歯と同様、しっかりと生えて噛むのに貢献してきたと言われる親知らずですが、硬いものは口にせず、調理されたやわらかいものばかりを食べるようになるにつれて親知らずが必要なくなり、親知らず自体作られない、というケースも増えてきていると言われています。

 

1-4親知らずがあるかどうかはいつ、どうやって分かる?

 

親知らずがあるかどうかを知るためには、歯医者で「パノラマレントゲン」というお口全体を写す大きなレントゲン写真を撮る必要があります。

 

親知らずの歯胚(種)が作られ始めるのは、下の親知らずの場合、乳歯から永久歯への生え変わりが始まる5〜6歳頃で、その頃にはまだレントゲンには写りません。8〜10歳くらいになると、歯の頭の形が見え始めてきますので、興味のある方はそれくらいの年齢以上になったら一度、歯科でパノラマレントゲンを撮ってもらうとよいでしょう。

 

2.親知らずが生えない・生えにくい人の特徴

 

2.親知らずが生えない・生えにくい人の特徴

 

親知らずが生えてこない、生えにくい、という場合、その原因として、次にあげるようないろいろな要因や背景が絡み合っていると考えられます。

 

2-1遺伝的な側面

 

親知らずが元々備わっていない場合、それは、親知らずの元となる「歯胚」がない、ということであり、このような体質は両親から遺伝することがあります。歯胚の数というのは、生まれながらに決まっており、それには遺伝が関係していると言われています。

 

また、骨格や顎の骨の形、歯の大きさや形、というのも遺伝しますので、親知らずが生え切るスペースが足りずに歯茎から出てこないのも、遺伝的な原因が関係していると言えます。

 

2-2時代的な側面

 

古代人は、硬い木の実や、簡単に噛みきれないようなものを中心に食べていたため、顎がかなり発達していました。そのため、親知らずも他の歯と同様、必要な歯として十分な役目を果たしていました。

 

ところが、時代が進むにつれ、火を使って食べ物を調理するようになり、あまり噛まなくても食べられるようなものが多くなったため、だんだんと顎が退化し、小さくなっていきました。

 

歯というのは、体の中で最も安定した組織であり、骨などと比較して進化による影響を受けないと言われています。そのため、食事の変化に伴って顎の骨が順応し、小さくなってきているのにもかかわらず、歯の大きさは昔のままであることから、顎の骨に収まり切らなくなっていったと考えられます。

 

また、長い進化の過程で、親知らずがだんだんと使われなくなるに伴い、必要のない親知らず自体が作られなくなる人が出てきたとも言われています。

 

2-3人種的な側面

 

日本人は、西洋人などと比べて元々骨格が華奢で顎が小さく、ただでさえ歯並びがガタガタに重なっていることが多いものです。そのため、そんな状況で親知らずがあったとしても、顎に歯が生えるための十分なスペースがなくなり、横向きに倒れた状態になるなどして、骨や歯茎に埋もれたまま、ということが起きやすくなります。

 

特に日本では近年、食事として加工食品を口にする人が多く、あまり噛まない食生活になってきているため、より一層顎の発達が抑制されてしまい、数十年前と比較して、より親知らずがきちんと生えない傾向が出てきている可能性があります。

 

3.親知らずが生えないのは異常?治療が必要?

 

3.親知らずが生えないのは異常?治療が必要?

 

親知らずが足りない場合、遺伝的な異常があるのかな?と不安になる人もいるかもしれません。ですが、親知らずがなくても全く異常ではありませんので、治療などの必要はありません。

 

一方、親知らずが生えることができない「埋伏」の状態になっている場合には、状況が違ってきます。例えば、虫歯になっている、歯茎がよく腫れる、手前の歯を押して歯並びを乱している、痛みがある、というような場合には、トラブルの原因にしかならないため、なるべく早めに抜歯をすることが推奨されます。

 

4.まとめ

 

親知らずがなくても、特に困ることはありませんし、逆にあることでトラブルのもとになる可能性が高くなるので、元々親知らずがないというのは逆に喜ばしいことと言えるかもしれません。

 

しかし、「自分には親知らずはないのだ」と思っていたとしても、実際には親知らずが埋もれて出てきていないだけ、ということもあります。埋もれていて生えてこられない状態の場合には、後々思わぬトラブルを起こすこともあるため、表面に親知らずが見えていない状態の人は、一度歯科医院でレントゲンを撮って、親知らずの状態を歯科医師に診断してもらうことをおすすめします。

 

なお、もし埋もれている親知らずがある場合、痛みなどのトラブルが起こるまで待って抜歯をすることももちろん可能ですが、症状が出てしまってからだと、抜く際や抜いた後に痛みが出やすかったり、麻酔が効きにくかったり、というようなことが起こりやすくなります。また、歳をとるにつれ、骨が硬くなり、抜くのが大変になっていきますので、できるだけ若いうちに抜いておく方が良いでしょう。

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この記事の監修者

医療法人幸美会 なかむら歯科クリニック 理事長・院長 歯科医師 中村 幸生

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